マーケティングプランを適切に作成するために知っておきたい4P分析について解説

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マーケティングプランを適切に作成するために知っておきたい4P分析について解説

マーケティングプランを適切に作成するために知っておきたい4P分析について解説

今日では、企業が提供する製品、あるいはサービスによる売り上げを最大化するために、マーケティングによるプランニングが必要です。そのプラン策定のためのツール(フレームワーク)のひとつに、4P分析という有名な分析手法があります。
マーケティングプランを作成する上で、基本となる、いわば骨格のようなものですが、広く使われている反面、以外にも適切な活用ができている企業が少ないのも事実です。非常に便利なフレームワークですが、その活用法を誤ると、得たい結果や成果を得られないことになります。あらためて、今回はこの4P分析の方法と、注意すべきポイントをご紹介します。

4P分析とは?

4P分析は自社が提供する製品やサービスを、効果的にユーザーに届けるマーケティング戦略を立てるためのフレームワークです。このフレームワークのルーツは、20世紀の大量生産・大量消費の時代に、ひとつの製品をできる限り多く顧客に販売するために、どうすれば効率を高めることができるかを考えて編み出されました。

製品やサービスによっては、取り巻く環境や競合他社の状況などが変わるために、販売戦略も変わります。

そのような “変化” に対応する必要が出てきた状況の時こそ、4P分析の出番となります。

まず、4Pについて押さえておきます。

  • 「Product:製品」
  • 「Price:価格」
  • 「Price:流通」
  • 「Promotion:プロモーション」

4P分析は上記の4つの要素に分けて、ターゲットとする顧客に対象となる製品あるいはサービスをいくらで、どこでどのように提供するのかを考えることになります。

4P分析は定期的に行うもの

対象となる顧客が求めるものは、その価値観とともに、常に変わるものなので、4P分析は一度行って終わりということではなく、定期的に実行して常に最適な4Pのフレームを認識しておくことが重要です。そして、この4つの要素がハラバラに独立して機能するのではなく、4つ全ての要素の整合性が取れていることも重要です。4つの要素同士の関係性を理解して、一つのフレームとしてまとめて分析することにより、初めて適切なターゲット顧客に求められる価値を提供できるようになります。

顧客が求めるものを4要素の整合性を持って提供すること

たとえば、エンタープライズ志向の新製品を新たに販売する場合、その適切な価格帯はどのレンジで設定すべきなのか?また、どのように見込みユーザーにアプローチすればターゲットに受け入れられる可能性が高まるのか?を決めることになります。
見込みユーザーにとって、価値を見出せる価格帯と、販売チャネルが合っていない状況では、いかに優れた製品・サービスであっても見込みユーザーから支持されることは期待できません。

製品・サービスに対しての評価は、提供する「企業の視点」ではなく、ターゲットである「顧客の視点」で評価し販売する必要があります。
現代では既に業務上必要となるツールやモノは、ほとんどの企業で充足しており、加えてほとんどの市場・製品カテゴリーでは、すでにプロダクトサイクル上の成熟期に達している状況です。このような状況下で、自社の製品・サービスを市場に新しく投下するとすれば、それは、見込みユーザーが本当に必要とするもの、欲しいと思うものでなければ支持されることは難しいといえます。

一方、ただ顧客本位で製品やサービスを開発しても、一連の活動の中で採算が取れなければ収益がです、ビジネスとしては成り立ちません。以前、ある著名な自動車メーカーが、顧客の求める車を追及して開発した結果、いざ販売すると全く売れなかったという事例がありました。これは、確かに顧客のニーズには応えた製品として成立していたのですが、あまりに多くの要求に応えすぎた結果、開発コストが嵩み、その製品を欲しいと思うユーザーの手が届かない価格になってしまったことが原因でした。もし、このメーカーが、製品を開発する前に少しでも4P分析の要素をと入れて製品を開発していたならば、その製品を必要とする顧客に合った販売戦略を立てることが出来ていたかもしれません。

4P分析で適切なマーケティングプランを組み立てる方法

4P分析は最終的に具体的なマーケティングプランを作成できなければ意味がありません。そこで分析の方法と、その後の具体的なマーケティングプランの組み立て方についてご紹介します。

製品について

4P分析は、製品の中身と価格設定、販売方法と宣伝方法となります。

まず製品、製品の中身ですが、考えるべき要素はさらに細かく分解されます。用途・性能・デザイン・大きさ・製品名・使いやすさなどですが、他にも必要に応じて追加してみてください。もちろん、開発スタッフにそのまま提案しても、「予算内では無理だよ」とか「実現が難しい」といった課題は発生します。当然、価格との兼ね合いもありますし、開発部門との複数回の擦り合わせが必要になります。

価格は価値に見合うものを

難しいのは価格設定です。製品あるいはサービスの品質やコンセプトとうまくマッチしていないと、高すぎても、ただ安価にしても支持されません。たとえば、高級路線で売り出す製品は、安すぎる価格設定は品質面で不安を与える原因になります。逆に、高過ぎる設定をした場合は、当然、前述のケースでお話したようにターゲット層が限定されすぎて販売のボリュームが想定に届かない結果になり、結果、収益に結び付きません。
ポイントは、製品あるいはサービスの魅力と、顧客が支払う対価のバランスがうまく取れていることです。

また、「原価・需要・競争相手」を加味することも忘れてはいけません。
需要も競争相手も多い場合、原価も価格も下げて薄利多売の戦略を選択することが多くなります。逆に、競争相手は少ないけれども、需要も少ない場合には、利益率を高めなければなりません。ここでも、「原価・需要・競争相手」の3つのバランスを考えて価格設定をすることになります。

流通について

販売チャネルは、具体的にどこで製品・サービスを提供するかということを指します。これは、見込み顧客の行動分析も必要ですが、自社から直接販売するのか、あるいは、ベンダーやパートナー・小売・販社を通すのかについても、決める必要があります。

直接販売についてですが、ベンダーや小売が入らないため、エンドユーザーに対して、安価で提供できるという利点があります。一方で、在庫の管理などについても、自社でコントロールをすることになります。ベンダーや小売を通すチャネルを選択した際には、在庫管理を含め、エンドユーザーとのコミュニケーション全般について、その業務と責任を保証してくれるので、自社が対応する業務や手間が軽減され、製品そのもの開発や改良に注力することが出来るようになり、当然、対エンドユーザーに対するリスク全般も低減することになります。

プロモーションはターゲットに届くように

宣伝はターゲット顧客にいかに届けるかが重要です。たとえば40代の女性に向けた化粧品の宣伝に、20代の女優を起用しても効果は期待できません。またターゲット層がよく目にする媒体、具体的にはテレビや雑誌、ウェブなどを調査して資源を集中させることが大切です。費用対効果の高い宣伝を行う必要があると言えます。

4Pの矛盾を見出すことが大事

4P分析を行ったら、必ず、その分析の整合性を入念に確認するようにしましょう。その中に矛盾点がないかどうかを精査することになります。たとえば高級路線で売り出す和菓子を安売りスーパーで販売するということがないようにするわけです。
矛盾点を見出し調整したならば、次は、相乗効果が期待できるような要素を考えます。

4P分析の注意点

4P分析の注意点

製品開発やマーケティングなどの部署が分かれていると、その連携は難しいものです。けれども4P分析による結果を共有することで、自然と連携が取れるようになります。問題はこの4P分析をどの部署で行うかということです。基本的にはマーケティング部門で実施し、その結果を各部署へ伝えて情報共有することになります。

ただし製品開発に関しては価格設定と原価計算など細かな知識が必要になりますし、製品と価格の整合性を取るためには製品開発部門との意識合わせのための予備知識が求められます。

このようにこれまでは各部署がそれぞれ専門の知識を持っていればよかったものが、4P分析を行うために知識共有も必要となるということです。そのための社員への啓蒙や教育が必要となり、全社でマーケティング活動や今回取り上げている4P分析を行うための意義を確認し、意識を持つことを推奨していかなければなりません

また、絶えず顧客の価値観や課題変化しますし、市場を取り巻く、経済状況も変わります。そのような環境下でも、製品が常に顧客の望むベネフィットを生み出せる状況にするため、定期的な4P分析等を行い、その価値が市場で受け入れられるものにしておくことが重要です。

おわりに

現在はあらゆる製品・サービスが溢れているために、継続した製品提供や新たなサービス開発が難しくなっています。けれども、今回ご紹介した4P分析等をうまく活用することで、その隙間に入り込み新しいビジネスのチャンスをつかめる可能性はまだまだあります。この機会に皆さんの会社・製品・サービスについても、一度確認してみてはいかがでしょうか。

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2002年の設立以来、インサイドセールスによる法人営業改革の支援を行ってきた「ブリッジインターナショナル」。日本におけるインサイドセールスのリーディングカンパニーとして、IT、通信・情報、流通、製造などの幅広い業種の企業に対し、「仕組み」「リソース」「道具」などさまざまなインサイドセールスのサービスをご提供し、多くの実績を積み上げてきました。当コラムは、多数のクライアント企業でインサイドセールス組織の立ち上げ・導入支援・MA活用支援などに携わってきたコンサルタントが、これまで蓄積したノウハウを元に執筆したものです。

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