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2019/04/19  テーマ
インサイドセールス TIPS
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デジタルインサイドセールス(第1章 進化するインサイドセールス 1.欧米諸国におけるインサイドセールスの進化)

2017年12月6日発刊 弊社代表の吉田が執筆した「デジタルインサイドセールスー最新テクノロジーによる法人営業改革の実践ー」

第1章 進化するインサイドセールス

1.欧米諸国におけるインサイドセールスの進化

欧米において、すでに一般的な営業形態となってきているインサイドセールスは、1990年代にアメリカで生まれた。国土が広いアメリカでは、直接企業を訪問するのが難しいこと、2000年代にかけて高速インターネット網が普及したことから、インサイドセールスは営業活動を刷新する新たな手法となった。
インサイドセールスで良質な顧客を開拓できれば、あとは商品力で勝負できるということで、今では有能なスタッフをインサイドセールスに置くという風潮があるほどインサイドセールスは認知されている。
これほどインサイドセールスが一般的になったのには、三つの理由が挙げられる。
一つ目の理由は、前述したように国土が広いという点だ。ある案件を醸成しているとき、相手先に飛行機で何度も行き来するには、時間も経費もかかりすぎる。日本の25倍もの国土を持つアメリカには、四つの標準時があり、西海岸のサンフランシスコと東海岸のニューヨークでは、3時間の時差がある。広大な国土ということを考えると、エリアによってはアメリカで日本のような日帰り出張をするのは不可能だ。
例えば、ニューヨークからサンフランシスコに出張するとして、航空券代が往復で12万円ほど。移動時間は片道約6時間30分にもなる。平均的なホテルに宿泊するとして、一泊約2万円。都心部から離れた場所まで営業に行くとしたら、レンタカーも借りる必要があるだろう。レンタカーは安くても一日1万円ほどかかる。つまり、サンフランシスコへ一泊二日で行き、レンタカーを一日借りるとすると、約15万円の出張費がかかるのである。
顧客との物理的な距離があるという局面において、相手先に行くことなく、メールやチャット、電話会議など、ITをうまく活用して営業を行えるインサイドセールスは、アメリカで営業活動をしていく上では、まさに理想的な仕組みだ。
訪問を減らすことができれば、時間もお金も節約でき、なおかつ一日に何件もの商談をこなすことができる。広い国土という事実があったからこそ、非対面で案件を醸成していく文化が育ってきたというわけだ。
二つ目の理由は、欧米人は特定分野に強みを持っているスペシャリストを好むということが挙げられる。欧米には、自分の担当分野以外については全く無関心、と言えるほどのスペシャリストがそろっている。日本には、広い知識や技術、経験を持ったゼネラリストが多いが、欧米の考え方からすると、ゼネラリストの多い日本は、どこか中途半端に見えるだろう。
仕事の役割が明確なことが多い欧米社会では、特定の分野を深く理解し、自分の守備範囲でしっかり活躍できるスペシャリストが好まれる。スペシャリスト志向という文化が主流であることは、アメリカンフットボールなどのスポーツ選手が、一試合出場するだけで一億円などといった大金を稼いだりすることからもうかがい知れる。
例えば、ピッツバーグ・スティーラーズでランニングバックとして活躍するリビオン・ベルは、そのタフさ、視野の広さと俊敏さで、NFL(National Football League)の中でも常に注目されている選手だ。彼が一試合でどれくらいの報酬を得ているかを、2017年の年棒から試算してみよう。
2017年の年俸は1,200万ドル(約14億円)である。一年で11.3試合出場し一試合平均157ヤード(約143.6メートル)を走りきるとすると、一年の走行距離は1774.1ヤード(約1622.2メートル) となる。つまり、一試合157ヤードを駆け抜けることで、約106万ドル(約1.2億円)を稼ぎ出しているのだ。
時間と勝負するスポーツといわれるアメリカンフットボールは、サッカーやラグビーのようなロスタイムがない。60分の試合出場でこれだけの報酬を手にすることができるというのは、まさにスペシャリスト文化の極みであろう。
三つ目の理由は、アメリカはもともと雇用が流動化している国だという点だ。アメリカの労働統計局が発表した2015年のデータでは、アメリカでは18歳から48歳の間に、平均で11.7回の転職をするという。また、アメリカの平均勤続年数は約4年と短い。そのような社会的背景があるだけに、会社を辞めた翌週には、もう転職先での仕事を始めているなどということが当たり前なのだ。
企業側も、なるべく離職させないように、営業の役割分担を細かく決め、個々の仕事に責任をもたせることで、会社に貢献しようという気持ちが生まれやすいようにしている。だが雇用が流動化している中での属人的な営業モデルというのは、そもそも欧米のビジネスには合っていない。特定の優秀な人物に売上を依存すること自体、その人が転職したら、既存顧客も見込み客も持っていかれる、という会社のリスクになってしまうからだ。
とはいえ、こうした雇用の流動化は、欧米や外資系企業の素晴らしいところでもある。個人の得意分野がはっきりしているだけに、いざ転職しようとなった場合、それを実行しやすい。このことは、会社側から見ると転職をされやすいということになるが、スペシャリストが豊富な欧米であれば、空いたセクションに求められる専門性が明確なので、人材探しも行いやすい。
例えば、あるセクションのスタッフが急に辞めたとする。そのようなときは、辞めたスタッフの仕事が詳細に記載されているジョブ・ディスクリプション(職務記述書)を見て、その仕事内容に見合った人材を採用すればいいのだ。
スタッフが辞めたセクションにおいても、辞めたスタッフがやっていた仕事が明確になっているため、次に入ったスタッフはシームレスに、滞りなく業務をこなすことができる。一カ月もすると、何十年もいたような顔をして仕事をしていたりする。
これは、先ほど言ったように、個々のスタッフが専門性を持っていて、その専門内容がジョブ・ディスクリプションという形で文書化されているため、担当者がやるべき仕事がはっきりしているということがポイントだ。日本のように、「私の担当は、だいたいこのあたり」、「その案件は彼の頭の中にあるから」というようなことは、欧米や外資系の会社ではあり得ないことだ。
以上の三つ― 国土の広さ、スペシャリスト志向、雇用の流動化― が、欧米でインサイドセールスが一般的になった大きな理由だ。欧米や外資系の企業には、インサイドセールスのような、プロセスを分業して仕事を進めるという素地が、すでにあったということだ。

図表1-1は、アメリカのマネジメント誌『ハーバード・ビジネス・レビュー』の「トップ100リーディング・カンパニー」についての資料だ。アメリカの大手企業における営業組織の状況を調査したところ、全体の65%が訪問型営業、25%がインサイドセールス、10%が代理店担当営業という内訳になっている。今後の改革の方針として、企業の21%が訪問型営業を増やそうとしている一方、46%はインサイドセールスを増やそうとしていることがわかる。
また、インサイドセールスが企業の一部門として組織されているという会社が70%もあり、さらに63%がSMB(Small and Medium Business)と呼ばれる中堅中小企業を営業のターゲットにしていることも明らかになった。
大きな会社に対しては訪問営業でぴったり張りついた営業をするだけの価値があるが、SMBは会社の数が多い上に、案件の規模は小さい傾向があるため、売上確保が難しくなってくる。そういう会社にこそインサイドセールスは有効で、インサイドセールスを活用しているからこそ、63%の企業がSMB市場に目を向けているというわけだ。
アメリカのあるIT企業の営業モデルの詳細はこうだ。
この企業は社員7,800名を抱え、さまざまなIT商材を一挙に取り扱う、売上一兆円規模の会社だ。30ある拠点には、最少で50名、最大で1,000名の人員を配している。また、ECサイト(Eコマース=電子商取引を提供するWebサイト)を運営しており、商材を販売するほか、アクセス履歴や販売データなどを解析し、営業成績の向上に役立てている。
営業要員として訪問営業が300名いるのに対し、インサイドセールスは2,700名と、インサイドセールスは全社員数のおよそ35%を占めている。
インサイドセールスの主な役割は、新規アカウントの獲得、日々の営業活動とアカウント管理、一般的な技術要件や問い合わせへの対応などである。
そして、この企業の売上は、インサイドセールスだけでクロージングまで行う案件を含め、拠点営業とインサイドセールスのハイブリッド案件が75%を占めている。残りの25%は訪問営業によるものだ。
このIT企業におけるインサイドセールスと訪問営業の比率は、今後の営業戦略を考える上で、日本の企業においても参考にする価値が十分あるのではないだろうか。

2017年12月6日発刊 弊社代表の吉田が執筆した「デジタルインサイドセールスー最新テクノロジーによる法人営業改革の実践ー」

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