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2019/09/04  テーマ
インサイドセールス TIPS
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デジタルインサイドセールス(第3章 インサイドセールスはデジタル化で最強となる 2.デジタルインサイドセールスに進化させる4つのテクノロジー②③-2)

2017年12月6日発刊 弊社代表の吉田が執筆した「デジタルインサイドセールスー最新テクノロジーによる法人営業改革の実践ー」

第3章 インサイドセールスはデジタル化で最強となる

2.デジタルインサイドセールスに進化させる四つのテクノロジー③

SAINを構成する五つの要素

SAINはすべての機能をリリースするにはまだ時間が掛かるため、徐々にリリースをしていこうと考えている。そもそもSAINは、長期にわたるインサイドセールスとしての実績と知見、また多くの企業の関係者の声をもとに、いかにしてAIによりインサイドセールスの業務を効率化し、最大効果をもたらす支援ツールが作れるか、という発想で開発に着手した。要素としては大きく分けて五つの機能の提供を計画している。
1.会話分析
2.戦略的ターゲティング
3.パイプライン(見込み案件)予測
4.VOC(Voice of Customer)分析
5.会話ナビゲーション
まずは会話分析の説明からしたいと思う。これは基本的にはSVやマネジャーなど、インサイドセールスを管理・サポートする立場の人を支援する機能である。
実際に会話分析の画面にログインすると、ダッシュボードのページが開き、インサイドセールスごとの昨日の電話発信数、トークタイム、トピックのサマリーや、過去一カ月のトピック別出現数推移などを時系列に表示する。このようにまずは活動全体を見渡して、どの辺りに課題があるのか当たりをつける。例えばそもそも活動は十分なのかなど、最も基本的な部分からである。
SVがインサイドセールスの品質を向上させるには、モニタリングが最善の手法だ。これはインサイドセールスが顧客と会話している録音音声を聞いて、シナリオ通りの会話を展開しているか、想定課題をぶつけているか、予算の有無や決定時期など、少し突っ込んだ会話を実施しているか、などをチェックして弱点を洗い出し、ガイドしていくという作業で、コツコツと実施するしかない。
この作業は大変な重労働だ。どの音声を聞けば改善すべき弱点が見付かるかは、ある意味勘に頼ることが多く、長い会話を聞いてみたり、逆に短い会話を聞いてみたり、また会話を飛ばし飛ばし聞いて、何が問題なのかを探し当てていくという気の遠くなるような作業を繰り返し実施する。
そこで、この会話分析機能を活用すると、まずはどの会話を聞けば良いかを自動的に検索してくれるのだ。
例えば、予算や決算に関する会話を探す、コンペに関する会話を探す、などさまざまな検索キーワードで聞きたい会話を抽出することが可能である。また、その音声はテキスト化されていて、そのテキストに検索キーワードもハイライトされているので、実際に長い会話を聞くのではなく、関係する箇所のテキストを目で見て、弱点を確認することが可能になる。
それ以外にも、相手が共感する会話を展開しているか、また話者比率、一回の電話でインサイドセールスと顧客どちらがどの比率で会話をしているか、なども知ることが可能になる。
あまり成績の良くないインサイドセールスは自分が一方的に話す傾向があり、ひどい場合、顧客は二割ほどしか話していないことなどが瞬時にわかる。
また、顧客がうなずくような会話の比率が高いか低いかなども会話の品質を測定する上で貴重な情報となる。このようにSVがインサイドセールスを指導する際のモニタリングが効率よく効果的にできることを支援するのが、会話分析だ。
次はターゲティングの機能だ。SVやマネジャーはどの会社にアプローチするのが良いかを常に考える必要があり、それをインサイドセールスに指示しなくてはならない。新規顧客の場合はある業種における会社の規模の大きさや従業員数などで決めていくケースがほとんどではないだろうか。SAINのターゲティング機能はさまざまな工夫がされている。大きく三つの切り口でターゲティングを実施する。


一つ目は投資マインドだ。これはインターネット上にある企業の公開情報をクローリングして、どんな会社がどんな分野に投資をしようとしているかなどの情報を集積する。上場企業の有価証券報告書やニュースリリースなども貴重な情報源だ。投資マインドのスコアを各企業に付け、これらの情報をもとにSAINで投資傾向をモデル化し、こちらが売りたい製品やサービスに対する投資意欲の強い企業をターゲティングするというイメージだ。
二つ目は話題性スコアだ。これもインターネット上のさまざまなニュースやトピックス、新製品発表情報、事例などの情報を収集し、世の中で今話題となっている企業はその話題になっている事柄に関連するさまざまなものを購入する可能性があるという仮説で企業を抽出してくる。
最後は類似性だ。これはある製品やサービスを購入した顧客の属性情報、プロファイル情報をAIに学習させ、類似した企業はその製品やサービスを購入する可能性が高いという仮説で抽出してくる。これらの三つを単独、もしくは組み合わせて、売りたい製品やサービスを買ってくれそうな企業をターゲティングしてくれるという機能だ。
次はパイプライン予測だ。これはあるインサイドセールスがこのままの調子でパイプラインを増やすと、「この年末」など、ある期間までにはどのぐらいのパイプラインが創出できるかを予測する機能だ。そのインサイドセールスの保有するスキルで、今の案件発掘状況や醸成の進み方などをSAINに学習させ、先々の着地を予測する機能である。ここで見込みが厳しそうな顧客がいれば、前述のモニタリング機能で弱点を克服させて目標達成できるよう、SVに指導すべきポイントのヒントも提供する。
四つ目に、VOC分析について説明する。これはVOC、つまり顧客の声を分析する機能である。顧客との会話から、現在はどのようなことに興味があるのか、またどのようなことに不満を感じているのかなどをSAINが分析し、その結果顧客の真の声に気付くことで、
必要な対策を即時に打っていけるよう、営業活動をサポートするものだ。
最後に、会話ナビゲーション機能について説明したい。これはSAINの中でも最も難易度の高いAIの活用だと思う。基本的には、前述のようにインサイドセールスの会話の録音データをテキスト化したものに自然言語処理をかけた後、SAINに学習させて会話をナビゲーションさせるというものだ。
当然学習させる対象は、優秀なインサイドセールスの会話だ。優秀なインサイドセールスは顧客の反応に応じて的確に会話の内容を変化させ、真の課題・要望を聞き出し、また現在の社内検討状況を把握する。その活動の間、自社製品・サービスの良さを刷り込み競争優位な状況を作り出す。このような教師データをSAINに学習させ、同じ様に顧客の反応に応じて有効な会話をナビゲーションするというものだ。比較的成績の芳しくないインサイドセールスに会話をナビゲーションしてあげることで、優秀なインサイドセールスと同等の成績を上げられる営業を育てるイメージだ。
具体的には、例えば「Aの話をしたら、その次はBかNの話をしなさい」というように、話題の遷移の順番を事前に提示したいと考えている。これをもう少し進化させ、「今、自分はGについて話した」と会話しながらGを選ぶ。すると「次はA、B、Nのどれかを話しなさい」という指示が出る。その中でBを選んだ場合、「次はKを話しなさい」とナビゲートしてくる。また、「Kの話をすれば商談が成功する確率は90%だ」と確率も教えてくれるようにしたい。
さらにナビゲーションシステムとしてリアルタイムで音声認識をし、「あなたは今、Bの話をしたので、次はこう話しなさい」と指示を自動的に出してくれるような仕組みにする予定だ。
AIはすでに私たちの身近にあり、さまざまな産業分野、生活分野にメリットを与えている。最近では、証券会社の営業にもAIが導入されている。顧客の資産状況、リスク管理や、顧客がリスクをどこまで受け入れ、リターンをどこまで望むか、といった情報を入れると、AIが、顧客が望むような提案をしてくれる。今までは証券会社のノウハウでやっていたところだが、AIを導入し、世界のマーケット情勢、為替動向といったすべての状態を見て、顧客にリスクテイクの状況を伝えた上で資産運用のターゲットに関する営業をすれば、顧客がそれに乗ってくる確率は高くなる。ビッグデータも扱えるAIという優秀な最新デジタルテクノロジー技術を享受するためにも、AIを営業の世界にも持ち込むべきなのだ。
なおインサイドセールスにAIを持ち込むと、ナビゲーションやターゲティングの段階でかなり有効に使えるのだが、このシステムは、まだどこの会社も備えていない。デジタルインサイドセールスの実現には、膨大なデータが必要になるからだ。
ある新聞記事によると、AIのいちばんの課題は、解析のもとになるデータにあるという。AIに学習させるためのデータは誰が持っているのか、ということだ。
話は逸れるが、Google やApple が持っているデータ量といったら、もう桁違いだ。彼らが持っている大量のデータでSiri などは学習しているわけだが、データの収集先は世界中にあるためデータはどんどん増え、Siri はますます賢くなっていく。そして、Siri を使うことでさらにデータが増えていくという好循環を生んでいる。多くのデータを持っている企業が、AIには強いのだ。
私たちがなぜAIにチャレンジすることにしたかというと、まさに当社がデータを持っているから、ということに他ならない。AIを使えば、私たちが持っているデータを、営業の現場で生かすことができるのだ。データがなければAIは何の役にも立たないが、データがあればあるほど、強いAIが作られる。
現在、当社で手掛けるインサイドセールスの最大のプロジェクトは、人員が約100名である。一日の一人あたりの発信数は20~30件くらいだが、そのうち会話が成立する数は10件ほどだ。ちなみに「会話の成立」とは、課題の共有など営業活動としての会話が成り立っている状態をいう。
データの収集という観点から見ると、一人が10件の営業をすれば、100人のインサイドセールスで一日1,000件の会話データが溜まることになる。20日活動すれば、二万件の会話データを集められる。二万件の顧客とのリアルなやり取りのデータが毎月溜まっていくのだから、回を重ねれば重ねるほど、蓄積される会話データは、莫大な量になってくる。
最近では、「コールセンターでAIを使っています」、「○○銀行でAIを使い始めました」という話を新聞などでよく見かけるが、それらはインバウンドのケースだ。かつては銀行などに問い合わせの電話をするとIVR(自動音声応答システム)が「新規口座開設の方は一番を」、「口座をお持ちの方は二番を」と番号を選ばせて用件を絞り込んで行き、その後初めてオペレータに繋がっていた。企業は、このIVRを導入することでオペレータの数を絞り経費の削減をしてきた。
このようにインバウンドの場合は、顧客が何かしら目的を持って電話をかけて来るためAIの導入がアウトバウンドと比較して容易であると思う。現在では顧客が番号を選ばなくとも音声認識で用件を判断する。これは用件があらかじめ予測しやすくその分音声認識の辞書などの準備が周到にできるためだ。
また、相手の用件が絞られることで、その電話が口座を開きたい顧客なのか、クレームなのかを確認して準備をしたり、また既存顧客であれば、その顧客に関連する別の金融商品の宣伝をしたりと、より効率的に接客が可能になる。電話の相手が目的を持っている会話というのは、話が進めやすいのだ。
しかし、アウトバウンドは、電話の相手が何を言うかわからないため、何を目的としているかを即座に理解するのは至難の業だ。アウトバウンドをやりやすくするためにも、会話の遷移をAIに蓄積し、「インサイドセールスは今この話をしているのではないか」と当たりをつけられるようにすることが必要だ。現段階では、まだ当たりをつけることは難しいが、将来的にもっと精度が上がってくれば、優秀な営業担当が常に良い成績を挙げるのと同じような会話を、他のインサイドセールスにもナビゲーションすることができるのだ。
インサイドセールスによるアウトバウンドの営業の会話をテキスト化することは、非常に目新しいことでもあり、企業からの関心も高い。
AIがあれば、売れる営業のパターンを、顧客の反応に応じて使うことができる。その状況にいた時の、いちばん正解に近い結果を出しやすい会話を、AI側が即座に教えてくれる―私たちがめざしている技術革新とは、AIの活用による営業のサポートなのだ。

2017年12月6日発刊 弊社代表の吉田が執筆した「デジタルインサイドセールスー最新テクノロジーによる法人営業改革の実践ー」

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