BtoBマーケティングでのアンケート調査のポイントと効果的な活用方法

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アンケート調査活用法

近年、「データ・ドリブン・マーケティング」「データベースマーケティング」といったキーワードをよく目にします。昨今のマーケティング活動では、技術革新によってデジタル上の顧客の行動が可視化されるようになり、そのデータを自社のマーケティング施策に反映する流れが当たり前になってきました。

行動データの調査方法は数多く存在しますが、なかでも「アンケート調査」は最もポピュラーな調査手法と言えます。しかし、せっかくアンケート調査を行っても、その結果をうまく活用できていない企業も多いのではないでしょうか。

この記事では、BtoBマーケティングの現場でアンケート調査を実施する際に押さえるべきポイントと、アンケート結果の効果的な活用方法について解説します。

BtoBマーケティングにおけるアンケートの意義

1. 企業にとって価値の高い情報の獲得

自社の商品・サービス、ブランドイメージへのフィードバック

アンケート調査を行うことで、自社の商品・サービス、ブランドに対して顧客が抱いているイメージ、さらには「実際に商品やサービスを利活用した結果」などの情報が得られます。いわゆる、市場調査やマーケティングリサーチと呼ばれるものです。

こうして得た情報は、商品・サービスの改善、ブランドイメージの軌道修正などに活かすことができる、非常に貴重な「顧客の声」です。

リード情報の獲得

アンケートの回答から、氏名やメールアドレス、部署名など将来の顧客になり得る貴重な「リード」情報が獲得できます。

また、回答者が抱える課題と、その課題を解決できる自社サービスを絡めた設問を作れば、アンケートそのものがリードの興味・関心の醸成につながり、案件化や実際の商談へも進めやすくなります。

2. メルマガやセミナー等のマーケティング施策のUX改善

自社で配信しているメールマガジンを集客施策として重視している企業は多いでしょう。同様に、自社開催のセミナーやオンラインのウェビナーをUX(※)施策の一つとして定期開催する企業も増えてきています。

セミナー開催時にアンケートを実施すれば、今後の施策に役立つさまざまなフィードバックが得られます。例えばイベント運営の改善方法や、メルマガの高い開封率を目指すためのヒントなど、次回以降の施策に活かせる情報が取得できます。

さらに、既存顧客からは商品・サービスに対するダイレクトな意見を聞けるので、このようなアンケート調査は特に高い効果を生みます。

※UX(user experience/ユーザーエクスペリエンス):顧客やユーザーが、特定企業の活動や公示している制作物などから得る顧客体験。特に、カスタマージャーニーに合わせてOMO(Online Mergers Offline)視点で、on-lineとoff-lineを融合する動きに注目が集まっている。

3. 顧客コミュニケーションによる信頼性の向上

BtoBマーケティングにおいて、顧客と良好な関係を築くCRM(Customer Relationship Management)(※)という考え方は、とても重要です。

とはいえメルマガやセミナーといったマーケティング施策は、一方向のコミュニケーションに特化しており、「共有」や「共創」といったCRMで重視される顧客との関係構築の観点からすると、顧客側からの意見・情報が不足しがちです。

アンケート調査は、顧客やユーザーの意見を吸い上げ、マーケティング施策にフィードバックするサイクルを生み出します。このサイクルは双方向のコミュニケーションを実現し、顧客やユーザーに沿った施策やアプローチが可能になります。必然的に顧客や見込み客からの信頼性は高まるでしょう

※CRM(Customer Relationship Management)についての詳しい記事はこちらをお読みください。
コンサルタントが語る!CRMをBtoBマーケティングで導入する前に知っておきたいこと

アンケート調査を実施する際のポイント

アンケート調査のイメージ

アンケート設計時のポイント

アンケート調査の目的を明確にする

まず調査を始める前に、なぜアンケート調査を実施するのかという目的を明確にしましょう。いつ、誰に、何を、どのように、といった点を毎回チーム内で検討し、設問作りから分析に至るまで、一貫した目的を持って進めることが重要です。

得たい情報に応じて回答方法を使い分ける

アンケート調査の回答は、主に「定量的データ」と「定性的データ」に分かれます。アンケートの目的や、どのような情報を得たいかに応じて、回答方法を選択します。

  • 定量的データ:「はい」「いいえ」の二択設問から得られる回答や、「とてもそう思う」から「そう思わない」など4〜5段階評価の設問から得られる回答
  • 定性的データ:「思いつくものを全て」「(商品の)〇〇の機能についてどう思いますか?」など自由記述欄から得られる回答

回答率の上がりやすい質問数・内容にする

回答者に煩わしさを感じさせないよう、質問数を最小限に厳選して用意しておきましょう。また、複数回答のような複雑な項目はなるべく避け、シンプルで直感的に記載できる内容がおすすめです。

設問の優先順位を意識する

アンケートに回答する際、一般的に回答者の集中力は時間とともに薄れていき、終盤になるほど時間も限られてきます。こうした回答者の状況を考慮し、アンケート調査でもっとも知りたいことは最初の方に持って来るように意識しましょう。

設問の優先度や関連性を踏まえて順番を組み立てれば、回答者の負担を軽減でき、回答率の向上にも繋がるかもしれません。

アンケート実施時のポイント

回答率アップの工夫をする

世の中には多くのアンケート調査が溢れ、簡単には回答の協力が得られなくなっています。インタビューや電話など、直接のやりとりが発生する調査方法に比べ、メールやフォーム経由でアンケートを取る場合、回答率が上がりづらいことも考慮しなければなりません。

  • キャンペーンに連動させる(「アンケートの回答で○○をプレゼント」など)
  • 回答の締め切り間際にリマインドを行う
  • 匿名での回答を許可する

など、顧客が答えたくなるような実施方法の工夫が必要です。

実施後の分析と振り返りを欠かさない

アンケート結果を受けて具体的な行動を起こして改善につながらなれば、アンケートを実施する意味がありません。できるだけ具体的な振り返りができるように、

  • 事前に設定した目的の達成度
  • マーケティング施策への活用法
  • 次回アンケートへの改善点

など、検証時のポイントを整理しておくことも重要です。振り返りや分析のための時間をあらかじめ確保しておくとよいでしょう。

アンケート調査の効果的な活用方法

ヒアリング・インタビュー・アンケート調査のイメージ

商品・サービスの改善、ブランドイメージの向上に活用する

アンケート結果には、自社の商品やサービス改善のヒントが集約されています。顧客が抱くイメージと、実際に打ち出している施策の意図に乖離があれば、方向性の見直しに役立ちます。また、開発部門には商品に対する「顧客の声」として改善案を共有すれば、より良いサービスの提供につながるでしょう。

また、アンケート調査の実施自体がブランディングの役割を果たすケースもあります。実施したアンケート調査の全貌を公にすることで「企業が社会的に担う役割や責任」に真摯に取り組む姿勢を示すことができ、専門的な知見を持つ企業としての信頼性を高めることにも繋がります。

調査結果を「集客コンテンツ」として活用する

調査専門会社が、アンケート結果をニュースリリースとして公表するケースをよく見かけるように、「自社のリリース資料として公表すること」を目的として、アンケート結果を利用することも可能です。世間の注目度が高いトレンドと、自社のビジネスとを関連づけたアンケートを作成するのです。

リリースの内容が興味深いものであれば、Webサイト訪問や資料請求、問い合わせに発展する可能性があります。また、SNSやメディアで取り上げられれば自社の認知度向上にもつながります。デジタル媒体に強みを持つPRメディアにキャンペーンとして掲載するなど、戦略を持って公表先を選べば、さらなる認知・集客効果を生み出せるでしょう。

商談のなかで活用する

営業パーソンであればイメージしやすいと思いますが、商談の際に提示するデータには「信憑性」や「客観性」といった質が問われるはずです。

その点、アンケート結果は、顧客やユーザーから得た「客観的な回答」の集合体です。「見込み客にアンケートを取ったら、こんな結果が出た」というふうに、商談対象者と同じ立場に立った客観的なデータを提示することができます。

顧客は、本来自身で行わなければならなかった「比較」や「客観的な判断材料の収集」という作業を商談によって短縮できたことになります。情報提供によって、営業パーソンへの信頼度も高まるはずです。

おわりに

BtoBマーケティングにおける「アンケート調査」は、大規模な定量的データを手軽に得られる素晴らしい調査方法です。さらに仮説を深掘りしたいときは、対面ヒアリングやインタビューなど定性的な調査方法を併用すると良いでしょう。

さまざまな活用方法を持つアンケート調査結果を自社の大事なデータ資産とし、マーケティング活動へ活用してみましょう。

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2002年の設立以来、インサイドセールスによる法人営業改革の支援を行ってきた「ブリッジインターナショナル」。日本におけるインサイドセールスのリーディングカンパニーとして、IT、通信・情報、流通、製造などの幅広い業種の企業に対し、「仕組み」「リソース」「道具」などさまざまなインサイドセールスのサービスをご提供し、多くの実績を積み上げてきました。当コラムは、多数のクライアント企業でインサイドセールス組織の立ち上げ・導入支援・MA活用支援などに携わってきたコンサルタントが、これまで蓄積したノウハウを元に執筆したものです。

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