横河レンタ・リース株式会社
“営業依存”から脱却し、全社でデータを活かす──マーケティングとカスタマーサクセスの連携による変革の7年

事例概要
横河レンタ・リースは、電子計測器やIT機器のレンタルを中心に、法人向けのシステム提案やエンジニアリングサービスを展開する企業です。
2018年、営業主導の属人的なアプローチに限界を感じ、全社的な営業体制の見直しを開始。マーケティング本部を新設し、BtoBマーケティングの基盤整備に着手しました。
そのパートナーとして選定されたのが、最新テクノロジーを活用した売上成長支援を強みとするブリッジインターナショナルでした。
事例のポイント
課題
- 営業主導の属人的なアプローチに限界を感じていた
- Web行動データなどを取得しても、有効活用するノウハウや体制が不足
解決策
- マーケティング部とカスタマーサクセス部門を統合し、顧客接点を一元化
- 外部の伴走支援パートナーと連携し、自社にフィットしたプロセス設計・実行を実施
効果
- 営業部門との連携が深化し、「こういうリードが欲しい」と要望が出るように
- データに基づいた施策設計が組織文化として根付き始めている
変わる市場、変わる購買行動。営業だけでは届かなくなっていた
電子計測器やIT機器のレンタルを中心に、法人向けにシステム提案やエンジニアリングサービスまでを展開する横河レンタ・リース株式会社。1987年の設立以来、「所有から利用へ」という時代の流れをとらえながら、顧客のニーズに応える事業を拡大してきた。
だが2018年、営業部門に大きな変化の兆しが訪れる。
「法人向けPC市場において、当社のシェアはまだ10%にも満たない。その市場をこれから獲得していくには、営業リソースだけでは限界が来る」と語るのは、営業管理本部長の内田陽子氏。当時は、マーケティング本部の創設にあたり中心的な役割を担っていた。

加えて、計測機器分野などでも「お客様が必要なタイミングで、真っ先に知ってもらう」ことの重要性が増していた。もはや、営業だけで顧客と出会える時代ではない。こうした背景を受け、営業とマーケティングを連携させ、より生産的な仕組みで受注を増やしていくというビジョンが示された。
このビジョンに即した戦略策定は、社長直下のプロジェクトとして遂行され、ブリッジインターナショナル(当時は2BC株式会社、2024年3月にブリッジインターナショナルによる吸収合併により統合)のコンサルタントが中心的な役割を担い、マーケティング本部の設置と、BtoBマーケティング基盤の整備から取り組みが始まった。
型にハメない、「うちらしい」やり方を支える伴走型支援
新設されたマーケティング部門では、マーケティングオートメーション(MA)ツール「Marketo」を導入。だが、社内にはツールの活用ノウハウがなく、「見込み顧客の行動情報は取れても、それをどう活かすかがわからなかった」とマーケティング本部長の高橋亮造氏は振り返る。

「最初のニーズは“Marketoの使い方を教えてほしい”というものでしたが、それだけでは実行に結びつかない。自社に合ったやり方で落とし込んでくれる支援が必要でした」と内田氏。
そうして選定されたのが、ブリッジインターナショナルのBtoBマーケティングの実行支援に特化した伴走型のアウトソーシングサービスだった。単なるコンサルティングではなく、運用の細部まで寄り添って支えてくれる実行型支援が、同社の課題にフィットした。
「マーケティングの立ち上げ、MA活用、広告運用の内製化支援、そしてカスタマーサクセスの戦略づくりまで──必要なテーマごとに必要なだけ、柔軟に支援してもらえたのが非常に大きかった」と内田氏は語る。
支援を通じて社内に一定のノウハウが定着すると、次の課題に取り組む。そのサイクルを繰り返しながら、マーケティング本部は着実に進化してきた。
属人営業からの脱却、組織でつくる仕組みづくり
取り組みは、スコアリングルールの設計、インサイドセールスとの役割分担、施策レビューの定着といった運用基盤の構築から始まった。
ブリッジインターナショナルは、同社の営業フローや事業部ごとの特性を理解したうえで、社内文化や人の動きに合わせた施策のアジャストを実施。
「机上の理論ではなく、私たちの実務とフィールドに沿って一緒に整えてくれた。知識だけでなく、当社にとってフィットするプロセス設計と実行が重要でした」と内田氏は語る。
また、2019年にはカスタマーサポートセンターをマーケティング本部内に統合し、カスタマーサクセスの視点も強化。お客様の継続率や満足度を高める取り組みを、マーケティングの文脈で支える体制へと進化させていった。
社内に根づいた「データで動く文化」
導入から数年が経ち、成果は着実に現れ始めている。
リードのスコアリング精度が向上し、営業からは「マーケティングからの送客で新規受注が増えてきた」と好評の声が上がっている。さらに「こういった施策や開拓活動を一緒にやりたい」といった要望もマーケティング側に寄せられるようになり、両部門の連携も密になってきた。
加えて、マーケティングと営業の接点を横断してデータを統合・活用する基盤として、 CDP(カスタマーデータプラットフォーム) も構築。Web行動やフォーム情報、営業接点データなどを一元管理することで、スコアリングやターゲティングの精度がさらに向上した。
このCDPの設計・整備にも、ブリッジインターナショナルがプロセス設計から運用設計まで伴走しており、データの整備・連携・活用という一連のサイクルを社内で回せる体制づくりに大きく貢献している。
社内文化そのものにも変化が生まれた。
「マーケティング活動においては、今では“データがないと語れない”という空気が出てきた。施策の立案や振り返りの場では、行動ログや反応率といった数値データを前提に議論するのが当たり前になりつつある」と高橋氏。
カスタマーサクセス領域でも、インシデント履歴や契約状況などをもとに「顧客ごとのカルテ」を作成。リスク顧客を早期に特定し、営業部門と連携して対応する仕組みが整ってきている。
これらの変化はすべて、「感覚で動く営業」から「データで動く全社」へと、同社が進化してきた証だ。
マーケティングの責任領域を越え、全社をリードする存在へ
マーケティング本部に求められる役割は年々進化している。「戦略立案」から「実行責任」へ。さらに、営業や他部門を含めた全社的なデータドリブン体制の推進役としての位置づけも強まってきた。

「マーケだけでなく、営業やカスタマーサクセスを含めた組織全体が、仮説を持って顧客に向き合えるように。そのためには、デジタルで得た情報と、インサイドセールスや営業が直接聞いて得た情報を融合させることが重要だと考えています。これからは営業現場でも顧客データの分析・活用が浸透するよう推進していきたい」と高橋氏。
いまや、マーケティングは“施策の実行部門”にとどまらず、データで全社をつなぎ、価値を最大化するハブとしての役割を担い始めている。これからも、変革を続ける横河レンタ・リースの取り組みから目が離せない。
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