未来の人材戦略を考える:提案型スキル×AI活用×マネジメント (「BRIDGE FORUM 2025」より)

イベントレポート
コラム
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はじめに

「人が足りない時代」と呼ばれる現代社会。限られた人材でレベニュープロセスの生産性を向上させる必要があります。各プロセスに求められるのが「提案型スキル」です。提案力を磨くためにどうすべきなのか、事例を交えながら紹介します。

なお、このコラムは、2025年10月21日に開催された「BRIDGE FORUM 2025」のメインセッション「未来の人材戦略を考える:提案型スキル×AI活用×マネジメント(株式会社アイ・ラーニング 代表取締役社長 杉山 真理子)」の一部をレポート化したものです。

BRIDGE FORUM 2025の全体版レポートはこちら

レベニュープロセスの中で必要なスキル「提案力」を磨くために

株式会社アイ・ラーニング 代表取締役社長 杉山 真理子
株式会社アイ・ラーニング
代表取締役社長
杉山 真理子

マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスそれぞれのプロセスにも人手不足の波が訪れる中、それぞれのプロセスに生産性向上が求められています。人材育成という観点から、現場でどのようなスキルを高めていくべきか、杉山は次のように語りました。

各プロセスに必要なスキルを明確にして人材育成することが必要です。一例ですが、インサイドセールスでは顧客から情報や課題を聞き出すスキル、フィールドセールスではソリューションを提案するスキル、カスタマーサクセスではアップセルやクロスセル提案するスキル。共通する項目として「提案力」を磨くことが必要になっています。(杉山)

レベニュープロセス4部門における必要スキルと共通スキルを示した図

このように、各項目で必要となるスキルを整理すると「提案力」が共通することがわかります。では、これをどのように磨いていけばよいのでしょうか。実際に、BIPROGY 株式会社がセールス研修での取り組み事例を通じ、提案力を磨く過程について紹介します。

BIPROGY社に学ぶ、提案型スキルを伸ばして営業変革を起こす方法

今回のセッションでは、ゲストとして BIPROGY 株式会社 執行役員 CTO テクノロジーサービス部門長 馬場定行氏がビデオ参加しています。

BRIDGE FORUM 2025でBIPROGY馬場氏のビデオ講演を紹介する場面
BIPROGY株式会社 執行役員 CTO テクノロジーサービス部門長 馬場定行氏(ビデオ参加)。BIPROGY社は、日本ユニシス時代も含め60年以上の実績を持つ大手システムインテグレーター企業。受託開発以外にもサービス型ビジネスの展開を進めている。

システムインテグレーター大手である同社では、サービス型ビジネスの展開を進める中でセールス研修を実施しました。セールス研修とはいうものの、参加したのは営業ではなくエンジニアでした。その理由について、馬場氏は次のように語っています。

私たちの組織では従来の SIer として受託開発を進めていますが、サービス型のビジネスも展開しています。この『サービス』は、エンジニアの技術と社会課題や顧客課題を結びつけることによって生まれてくると考えています。目指すところは、エンジニアの価値を高めることでサービスの価値を高めていくことです。そこがお客様とフィットするのが一番良いと思います。

その中で、エンジニアには世の中の課題、顧客課題をとらえて、その本質を考えて、そこにエンジニア力を掛け合わせる。さらに顧客に提案をしていくスキルが必要だと考えました。(馬場氏)

すでに持っているエンジニアのスキルに、お客様の課題を引き出す提案力をかけ合わせて、その人の価値を高めていくためのセールス研修を実施したと語る馬場氏。セールス研修ではあるものの「営業に移るということではなく、エンジニアとしての仕事の幅を広げるために身につけたいスキル」と説明し、納得した社員たちは積極的に取り組んでいたと言います。では、その研修の具体的な内容はどのようなものだったのでしょうか。

いわゆるロールプレイという形で、実際に起きることをシミュレーションしながら研修を進めたことが重要なポイントだと思いました。机上での研修というより、お互いに対話をしながら、実際に考えて体を動かして、もちろん口頭でも話し、フィードバックしてもらうといった、頭に入るだけではなく体感するという研修でした。(馬場氏)

セールス研修を受けたことで、エンジニアには行動変容が起きたと馬場氏は述べています。その変化とは次のようなものでした。

研修の中で『顧客との対話』を体験したことで、例えばエンジニアが『じゃあ、お客様のところにはこういう形でいけば良いのではないか』と考えるようになりました。事前調査や提供情報など踏まえて、顧客に何を質問すればどういう答えが得られるか…。こういうやりとりを意識した行動ができるようになりました。

このように、自ら顧客のところに出向いて動き出しているのを見ていると、この研修を実施してよかったなと考えています。行動変容が起きているという意味では、ものすごく良い研修だったなというふうに思います。(馬場氏)

エンジニアが営業マインドや交渉力を学んだ研修でしたが、今後もこの「提案スキル」がレベニュープロセスの中で大きな効果を発揮するのではないでしょうか。

BIPROGYの事例を詳しく見る
※グループ会社アイ・ラーニングの公式サイトへ遷移します。

まとめ

今回は、「未来の人材戦略を考える:提案型スキル×AI 活用×マネジメント」というテーマで行われたセッションのうち、主にレベニュープロセスの生産性向上につながる提案型スキルの磨き方を事例とともに紹介しました。

アーカイブ動画では、録音データを AI が分析し、話し方の傾向や改善ポイントを導き出す“AI スコアリング”の考え方も紹介しています。
一律の研修から、個々の強み・弱みに合わせた学びへ──AI 活用による人材育成の進化を深く理解いただける内容です。

ぜひご覧ください。

▶ このセッションをもっと詳しく見る

また、今回のFORUMのうち下記セッションについては、さらに詳しい内容を紹介しておりますので、ぜひお読みいただき、今後の取り組みの参考にしてはいかがでしょうか。

全体版 『【イベントレポート】BRIDGE FORUM 2025│Maximizing Revenue 〜持続的売上成長へ—仕組みとAIの再設計で成果を最大化〜』
メインセッション-2 『「AI×仕組み」で切り拓く売上成長の新常識 〜レベニュープロセス分業の再考〜』
ブリッジプロセステクノロジー株式会社 取締役副社長 北村 寿雄
メインセッション-3 『営業プロセスは「分けて、磨く」:インサイドセールスが実現する最適解』
ブリッジインターナショナル株式会社 代表取締役社長 八木 敏英
メインセッション-4 『テクノロジー×データで進化するレベニュープロセス:持続的成長のための実践』
ブリッジプロセステクノロジー株式会社 代表取締役社長 尾花 淳

2002年の設立以来、インサイドセールスによる法人営業改革の支援を行ってきた「ブリッジインターナショナルグループ」。日本におけるインサイドセールスのリーディングカンパニーとして、IT、通信・情報、流通、製造などの幅広い業種の企業に対し、「仕組み」「リソース」「道具」などさまざまなインサイドセールスのサービスをご提供し、多くの実績を積み上げてきました。当コラムは、多数のクライアント企業でインサイドセールス組織の立ち上げ・導入支援・MA活用支援などに携わってきたコンサルタントが、これまで蓄積したノウハウを元に執筆したものです。

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