インサイドセールスとSMB(Small and Medium Business)
図表1-1は、アメリカのマネジメント誌『ハーバード・ビジネス・レビュー』の「トップ100リーディング・カンパニー」についての資料だ。アメリカの大手企業における営業組織の状況を調査したところ、全体の65%が訪問型営業、25%がインサイドセールス、10%が代理店担当営業という内訳になっている。
今後の改革の方針として、企業の21%が訪問型営業を増やそうとしている一方、46%はインサイドセールスを増やそうとしていることがわかる。
また、インサイドセールスが企業の一部門として組織されているという会社が70%もあり、さらに63%がSMB(Small and Medium Business)と呼ばれる中堅中小企業を営業のターゲットにしていることも明らかになった。大きな会社に対しては訪問営業でぴったり張りついた営業をするだけの価値があるが、SMBは会社の数が多い上に、案件の規模は小さい傾向があるため、売上確保が難しくなってくる。そういう会社にこそインサイドセールスは有効で、インサイドセールスを活用しているからこそ、63%の企業がSMB市場に目を向けているというわけだ。
訪問営業とインサイドセールスの比率例
アメリカのあるIT企業の営業モデルの詳細はこうだ。この企業は社員7,800名を抱え、さまざまなIT商材を一挙に取り扱う、売上一兆円規模の会社だ。30ある拠点には、最少で50名、最大で1,000名の人員を配している。また、ECサイト(Eコマース=電子商取引を提供するWebサイト)を運営しており、商材を販売するほか、アクセス履歴や販売データなどを解析し、営業成績の向上に役立てている。
営業要員として訪問営業が300名いるのに対し、インサイドセールスは2,700名と、インサイドセールスは全社員数のおよそ35%を占めている。
インサイドセールスの主な役割は、新規アカウントの獲得、日々の営業活動とアカウント管理、一般的な技術要件や問い合わせへの対応などである。
そして、この企業の売上は、インサイドセールスだけでクロージングまで行う案件を含め、拠点営業とインサイドセールスのハイブリッド案件が75%を占めている。残りの25%は訪問営業によるものだ。
このIT企業におけるインサイドセールスと訪問営業の比率は、今後の営業戦略を考える上で、日本の企業においても参考にする価値が十分あるのではないだろうか。
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