アネスト岩田 株式会社
自社創出案件の増大でより戦略的な営業へ
「デマンドセンター」を軸に営業変革を推進
事例概要
創立100周年を目前に控え、「真のグローバルワン・エクセレントメーカ」となるべく、最適な組織体制づくりと人材育成を推進しているアネスト岩田。その一環として進められているのが「デマンドセンター」を軸とした営業改革です。ブリッジインターナショナル株式会社とともに営業組織のあるべき姿を明確にしたうえで、デマンドセンターによる新規リード創出体制を確立。そのためのインサイドセールスも、ブリッジインターナショナルが支援しています。これによって代理店経由ではない「自社創出の案件」を増やしながら、営業の戦略性を高め続けています。
事例ポイント
課題
- B to Bでの購買行動が変容し、営業担当者の関与の割合が低下
- 顧客と直接やり取りできる接点を増やしたかったが、商流のほとんどが代理店経由
解決策
- 「デマンドセンター」を立ち上げ、営業プロセスを分業化
- アウトバウンドコールなどで顧客情報収集と提案を実施
効果
- 製品単体ではなく、大規模なクロスセルにつながる案件を創出
- 成功事例などを紹介することで、営業担当者の意識変革も進む
大きく変容した製造業の購買行動
顧客との接点拡大が重要な課題に
1926年に創業し、2024年に98年目を迎えたアネスト岩田。国内外に1,200以上の特許を持ち、気体の圧縮技術や真空技術を提供する「エアエナジー事業」と、環境に優しい世界トップクラスの塗膜作成技術を提供する「コーティング事業」を、世界22の国と地域で展開しています。2019年には創業100周年を視野に入れた「ブルーオーシャン100プロジェクト」をスタート。「真のグローバルワン・エクセレントメーカ」となるべく、最適な組織体制づくりと人材育成を推進しています。
この一環として取り組まれているのが「営業改革プロジェクト」です。その背景について、デジタルマーケティンググループのグループマネージャーで、「デマンドセンター」のセンター長も務める大島広大氏は、次のように説明します。
「当社は製造業のお客様にコンプレッサや真空ポンプ、塗装機器や塗装設備などを提供していますが、B
to
Bの購買プロセスはこの10年で大きく変わりました。以前は営業担当者からの情報をもとに購買決定を行うケースが一般的でしたが、最近ではデジタルの進化によって、営業からの情報提供を受ける前に自ら情報収集を行い、何を購買するかほぼ目星をつけた段階で営業担当者にコンタクトを取るようになってきました。そのため、営業担当者がお客様の意思決定に関与する度合いが、以前よりも低下しています」
このような状況の中で営業力を強化していくには、エンドユーザーの声を直接聞くとともに、こちらからも直接提案できる仕組みが不可欠だと判断。しかし同社の商流(販売チャネル)は代理店経由の比率が圧倒的多く、顧客と直接やり取りできる接点を作ることが難しい、という課題を抱えていました。
変化に対応するため営業プロセス分業化
デマンドセンターで新規リードを創出
この問題の解決に向け、2019年7月には「営業プロセス改革」に向けた検討に着手。ブリッジインターナショナルのコンサルタントも参加し、約3か月間にわたって課題出しが進められていきます。その後も週2回のミーティングを行いながら、販売チャネルの現状整理やリード創出に着目した組織設計を推進。2020年4月に営業組織を改革し、これと同時に「デマンドセンター」も立ち上げています。
「お客様の購買行動が大きく変化し、検討プロセスも多様化している現在では、従来のように種まきから案件の醸成、商談のクロージング、アフターサービスまでを、1人の営業担当者が実施することは困難です。そこで営業組織の改革では、まず営業プロセスを分業化することを進め、リードの創出やその後のナーチャリング、営業に渡す案件の創出を、デマンドセンターが担うことにしました」(大島氏)
この組織体制でまず行われたのが、新規顧客獲得に向けたアウトバウンドコールでした。ブリッジインターナショナルの「インサイドセールスアウトソーシング」がデマンドセンターと連携し、リストをもとに電話をかけ、ここから新たなリードを生み出す、という取り組みが進められました。またこれと並行して、MAを活用したナーチャリングシナリオの策定や、SFA/CRMの本格的な活用もスタートしています。
2021年度にはさらに一歩前進し、SFA/CRMに蓄積する顧客データの整備や、これに基づいた案件の創出、リード創出から受注までの分業プロセス定着化などを推進。このような取り組みによって、デマンドセンターから創出される商談数は、2年間で1.5倍に増大しています。しかし、大きな売上増にはつながらなかったと大島氏は振り返ります。
自社創出のリード活用を広げるため
大規模受注につながる案件を厳選
「デマンドセンターが新たに創出した案件はクロージングまで時間がかかるものが多く、すでに代理店経由での引き合いを数多く抱えている営業担当者からは、敬遠される傾向がありました。そのためこれらの案件の多くが放置されていました」(大島氏)
そこでデマンドセンターが出した解決策が、デマンドセンターからモチベーションの高い営業担当者に案件創出を打診し、担当者が欲しいと感じる魅力的な案件(主にアウトバウンドのソリューション案件)を創出する、というものでした。
「この取り組みを2022年度から始めていますが、すでに4件ほどの受注につながっています」と大島氏は語ります。例えば、塗装をしているお客様を見つけ出し、インサイドセールスでその周辺案件のニーズや顧客の気付いていなかった潜在的な課題を聞き出したうえで、それを営業担当者に引き渡すことで大規模案件を受注する、といったことが実現されているのだと説明します。
「このような成功事例や、他にどのようなユースケースが考えられるかなどの啓発活動も、2024年度から積極化しています。その結果、現在ではほとんどの営業担当者が、デマンドセンターで創出した案件の重要性を理解するようになっています」(大島氏)
今後もリードに対する戦略性を高め
選ばれるための差別化を図っていく
現在のリード育成・案件創出のプロセスは図に示すとおり。まず展示会などで取得したリードに対し、インサイドセールスチームがメール送信やコールを行いながら、プロファイル取得や課題聴取を実施します。ここで20段階のスコアリングを行い、一定スコア以上のものをデマンドセンターから営業担当者に渡します。ここから顧客へのコンタクトは営業担当者に引き継がれますが、進みの遅い案件は引き続きインサイドセールス側でもフォロー。営業担当者は確度の高い案件に、全力投球できるようにしています。
「この仕組みは、ブリッジインターナショナルから基礎となる方法論を教えていただいたうえで、当社に適した形にカスタマイズしたものです」と大島氏は話します。顧客(エンドユーザー)の課題を深く理解して最適な提案を行う能力に加えて、社内の意識変革といった長期的な取り組みに対しても継続的に伴走してくれることは、ブリッジインターナショナルの大きな特長だと強調します。「またインサイドセールスのメンバーも、当社製品や顧客課題など情報の吸収力が高く、いつも感心しています。このようなメンバーがいるからこそ、お客様を深く理解して最適な提案を行い、リードの確度を高められるのだと評価しています」(大島氏)
今後は営業の戦略性をさらに高めるため、ターゲットを階層化したうえで、各階層への攻略イメージを営業担当者と共有していく方針です。その一方で、上位階層のターゲットから選ばれるために、他社とどのような差別化を図っていくかより深く掘り下げていきたいと大島氏は語ります。
「ブリッジインターナショナルと5年間走ってきたことで、その基盤を確立できました。これからも営業担当者の行動変容を後押ししながら、狙うべきターゲットを意識した営業へとシフトしていきたいと考えています」
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