インサイドセールスの成否を分ける「セールスモデルの策定」
私達ブリッジインターナショナルのインサイドセールス活動の肝となるのが、セールスモデルの策定だ。セールスモデルの策定とは、誰に・どのような目的をもって・誰が・どのように営業活動をするかを決めることである。
営業活動の相手が大手企業なのか中小企業なのか、新規の顧客開拓なのか既存の顧客へのクロスセル・アップセルなのか、顧客を担当するのは訪問営業なのかインサイドセールスなのか、代理店による販売なのか、はたまたWebやメールで完結させるのか、といったことを決めていく。営業目的と対象、インサイドセールスの特性を踏まえて、生産性を高めるにはインサイドセールスをどこに組み込むかが大きなポイントになる。
また、マーケティング部門、インサイドセールス、訪問営業の間で共通の物差しを決めておく必要があり、顧客の購買プロセスに応じた受注見込みを、セールスステージなどで定義しておくことが大切だ。特にインサイドセールスだけではクロージングが難しい商材を扱う場合、どのセールスステージでインサイドセールスから訪問営業へ引き渡すかも重要になってくる。
①プロジェクト計画の立案
③コミュニケーションデザイン
④マネジメントサイクル定義・システム整備・展開準備
BANT(バント)とセールスモーション
引き渡す案件の条件としてよく用いられるものに、BANTという考え方がある。BANTとは、Budget(予算)、Authority(決裁権)、Needs(必要性)、Timeframe(導入時期)の頭文字を取ったマーケティング用語で、訪問営業や営業管理者が顧客の予算、ニーズ、注文時期などを見極めるときに使うものだ。顧客によって、BANTの基準は異なってくることが多く、特に大手企業との取り引きの場合は、成約までに関わる人数が多くなるため、BANT情報を全員が共有しているかどうかが肝心だ。
たとえば、数億円もするコンサルティングの案件を扱う場合は、予算がまだ固まり切らない状態で訪問営業に渡すほうがいい。あまり決め込まない状態から醸成していくほうが、現場は営業活動に入りやすいのだ。このように、商材やテリトリーによっても動き方が違ってくるため、セールスモデルの策定には時間を要する。
私が営業担当だった時代は、最初から商品の売り込みはできなかった。初めて見込み客を訪ねる際は「うちの会社はこんなことをやっているんですよ」、「流通業の会社を担当しているときは、こんなに時間がかかりました」といった世間話をして引き上げる。
何度かその見込み客を訪ね、自社のいろいろな事例を出しながら話を重ねていくうちに、だんだんと信用が生まれてきて、「こんな資料ないの?」と言われてようやく資料を作成し、見せるようになる。そういう訪問を重ねるうちに、見込み客とのコミュニケーションが深まり、二年も経つ頃には、「コンペにはなってしまうけど、提案書を作ってみるかい?」と言われるまでに信頼関係が出来上がる。それから半年ほどかけてセリングして、ついに受注となるわけだ。
インサイドセールスを活用して見込み客に詳細な情報を提供できれば、私が二年を費やして得た信頼関係の構築を、相手先を訪問することなく、時間を大幅に短縮して行うことができる。インサイドセールスは、売上が億単位の複雑な案件から、200万円の単純な案件まで、いくらでも対応できるうえ、訪問営業にかける時間や労力も減らすことができるのだ。
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