目次
はじめに
昨今、カスタマーサクセスの取り組みが多くの企業に浸透してきました。カスタマーサクセスにおいて、顧客のフォローはもちろんですが、収益へとつなげる活動も欠かせない視点です。
そこで本コラムでは、カスタマーサクセスの“収穫期”を担う「ポストセールス」の役割や改善ポイント、その重要性をご紹介します。
1. 「ポストセールス」とは? カスタマーサクセスの“収穫期”
カスタマーサクセスのプロセスを整理しよう
多くの製品・サービスの案件は、マーケティングやインサイドセールス、営業などの活動を経て、ようやく成約に至ります。しかし、案件成約は製品・サービス提供の“ゴール”ではありません。
現代社会の「モノからコト」へという潮流の中で、モノを所有するよりもサービスとして利用するという形式が広がっています。SaaSなどサブスクリプションモデルはその代表例でしょう。
そこで注目されたのが、「成約後」の活動であるカスタマーサクセスです。サブスクリプションサービスでは、成約後も「不満がある→解約」というように、顧客の成功や課題解決を支援しなければ、売上の継続にはつながりません。顧客が抱える課題を、製品やサービスの活用を通じて解決し、本来の目的を達成できるように支援すること──それがカスタマーサクセスです。
この成約後からスタートする、カスタマーサクセスの一般的なプロセスを整理すると下図のようになります。各社が様々なカスタマーサクセスのプロセスを提示していますが、おおむね共通している項目ではないでしょうか。エクスパンションの後に、「アドボカシー」や「ロイヤル化」(顧客がファン化し他社に推薦や紹介してくれる状態)などを含める場合もあります。顧客の状態や商材によっても異なるものなので、あくまでここに取り上げたプロセス図は一例と考えてください。

「ポストセールス」はカスタマーサクセスにおける“収穫期”
カスタマーサクセスのプロセスの全体像を見ると、大きく2つのフェーズに分けられます。前半の育成・支援のフェーズでは、製品知識や運用支援などが必要で、SE的な素養が求められることもあります。まずはこの“育てる”フェーズに注力している企業も多いことでしょう。
一方、後半の「リニューアル」や「エクスパンション」は、いわば “収穫期”であり、契約更新や契約拡大につなげる重要なプロセスです。この後半を担うのが「ポストセールス」です。
ポストセールスは、受注後も顧客との関係を育て続け、収益化へと導く活動です。提案・交渉・説得・機会発掘など営業的なスキルとともに、継続的な関係の構築が求められます。このようにして、成果や信頼を積み上げながら、契約更新やアップセル・クロスセルといった収益拡大につなげるのがポストセールスの役割です。

2. ポストセールスで“収穫”を最大化するための仕組みをつくる
ポストセールスを改善するための3つの視点
多くの企業がカスタマーサクセスに力を入れている一方で、その成果を収益へとつなげるには、まだ改善の余地があると考えられます。3つの視点から整理していきましょう。
1つ目は、カスタマーサクセスの活動が前半フェーズに偏っている点。リテンション(解約を防ぎ、関係を維持すること)の観点では、オンボーディングやアダプションなど初期支援に注力するケースが多い一方で、ポストセールスの仕組みが設計されていないことが課題となっています。
2つ目は、情報連携・共有が不足している点。受注前にインサイドセールスや営業がヒアリングした顧客課題が、契約後のカスタマーサクセスやポストセールスに引き継がれないケースも見られます。例えば、受注までのやり取りがリセットされてしまうと、顧客は何度も同じ説明を繰り返すことになり、顧客満足度や信頼度が低下しかねません。
3つ目は、提案するタイミングが不明確な点。顧客の利用状況や成果を正しく把握できていないと、最適なタイミングで提案できず “収穫期”のサインを見逃すリスクがあります。
これら3つの視点を踏まえると、マーケティング、インサイドセールス、営業、カスタマーサクセスまでの活動を“つなげる”取り組みが必要といえます。つまり、ポストセールスを根付かせるためには、顧客との良好な関係が途切れないようにする仕組みをつくることが重要なのです。
ポストセールスは点ではなく線で考える…つながりを生む仕組みづくり
ポストセールスの活動は、それ単体で完結するものではありません。マーケティング、インサイドセールス、営業、カスタマーサクセスといった一連の活動の延長線上にあり、これまで培ってきた顧客との関係性を最大限に活かすことができる取り組みです。

この一連の活動で重要なのは、顧客情報とコミュニケーションの流れを“分断させない”ことです。例えば、受注前の段階では「農耕型」インサイドセールスが、長期的・定期的に接点を持ちながら顧客との良好な関係を築いてきました。この過程で得られた情報は、受注のためのみならず、カスタマーサクセスにも貴重な資産となっています。
つまり、「農耕型」の考え方をマーケティングからインサイドセールス、営業、カスタマーサービスまで一貫して取り入れ、関係性を連綿と積み上げていくことが、ポストセールスのタイミングで大きな価値を生むことにつながります。
近年、新規の顧客獲得がますます難しくなっている中で、やみくもに新規獲得に取り組むよりも、まずは既存顧客との関係性の強化に投資することも一案です。解約や乗り換えを数%改善するだけでも、自社にとって大きなインパクトとなることでしょう。この、ポストセールスまで意識を行き届かせて、丁寧に「農耕型」のアプローチで顧客との関係性を築き、積み上げていくことが、真のカスタマーサクセスと言えるのではないでしょうか。
まとめ
本コラムでは、カスタマーサクセスの“収穫期”を担う「ポストセールス」の位置づけと、その重要性や取り組み方について紹介しました。
契約後の活動を「終わり」とするのではなく、「次の収穫につなげる始まり」と考えることで、収益の持続的な成長が期待できます。そのためにも、ポストセールスという大きな収穫の時期まで見据えて、「農耕型」インサイドセールスに代表されるような顧客との良好な関係づくりに取り組んではいかがでしょうか。
また、ポストセールスの実践事例や仕組み化のヒントを知りたい方は、事例資料やサービス紹介ページもぜひご覧ください。
インサイドセールスのことでお困りではありませんか?
実際の事例から学びつつ、インサイドセールスアウトソーシングの活用方法を詳しくご確認いただけます。
最新の事例を見る インサイドセールスアウトソーシングの資料