インサイドセールスの組織づくりのポイントと担当者に必要なスキル

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インサイドセールス各担当者に必要なスキルとは、インサイドセールス、必要なスキル

インサイドセールスの導入が決まり組織づくりを始めるうえで、実際にコール活動を行う担当者や、メンバーを統括するマネージャーには、どのような人材を配置するのが好ましいのでしょうか。

この記事では、インサイドセールス活動に適した人材や求められるスキルとともに、インサイドセールス部門を統括する「マネージャーの業務」についても触れ、インサイドセールスの組織づくりのポイントについて解説します。

最初にインサイドセールスの役割・特長・導入の流れなどについて知りたい方は下記ページをご参照ください。
インサイドセールスとは?その役割・特長と導入の効果を徹底解説

インサイドセールスの組織づくりのポイント

インサイドセールスは、電話やWebコミュニケーションツール(例:メール、チャット、TV会議ツール)を使用した非対面の営業手法であり、「営業活動を行う」という点ではフィールドセールス(訪問営業)と変わりません。

もちろん、社内に既にある営業部門からトップセールスを誇るメンバーをアサイン(任命、配属)できればインサイドセールスの導入は成功しやすいと言えますが、会社の売上を担う優秀な営業パーソンを異動させることは、リスクが高いと考える営業マネージャーや経営陣がほとんどでしょう。

新たに採用活動を行う場合

インサイドセールスに配置できる人的リソースが足りない場合、社内の他の部署や、外部から新規に採用活動を行うのが一般的です。そのような場合、まずはBtoB営業の経験者を採用するのが良いでしょう。それが難しい状況であれば、何かしらの営業経験やテレマーケティング、接客業の経験者も視野に入れて検討することをおすすめします。

電話を用いた業務経験が必ずしもインサイドセールスのスキル要件となる訳ではありません。重要なことは、「時間をかけて顧客と信頼関係を構築できる高いコミュニケーション能力」です。例えば、一方的な発信を中心とするテレフォンアポインターの経験者より販売などの接客経験者の方が、インサイドセールスとして成功する可能性は高いと言えます。

社内の営業組織からアサインする場合

「2・6・2の法則」を用いた人員配置

組織や人間関係などを表す時に用いる「2・6・2の法則」という考え方があります。営業組織で例えれば、上位2割の生産的なグループ、中位6割の平均的なグループ、下位2割の非生産的なグループといったように、どんなに優秀な営業パーソンばかりを集めたとしても、その構成比は自然と2:6:2になるというものです。

この法則を前提に、インサイドセールスにアサインして最も効果が期待できるのは「中位6割のうちのさらに上位」に属し、かつ「再現性の高い営業スタイル」を備えた人物、と考えられます。

「再現性の高い営業スタイル」を備えた人物とは、例えばSFAなどの分析結果をもとに自ら営業戦略を立てて実行に移したり、営業プロセスを意識しながらPDCAサイクルを回していけるような人物です。そのような営業方法で「中位6割の上位」に位置付けられる=その人物が作る「仕組み」が優れている、というわけです。

どんなに高い売上を叩き出すトップセールスであっても、勘の鋭さや、誰にも真似できないような独特な営業スタイルを武器とする、上位2割に該当する営業パーソンでは、組織全体へその技術を展開することはできません。数多くの見込み顧客へアプローチするインサイドセールスでは、勘の鋭さよりも一つひとつの営業プロセスを念頭に置いた、確実な「仕組み」が求められるのです。
インサイドセールスに適した人物像

インサイドセールス担当者に求められるスキル

インサイドセールスは、フィールドセールス(訪問営業)で重要視されるような交渉力や高い提案力、社内に対する調整力などは、そこまで必要とされない場合がほとんどです。それでは、インサイドセールスに求められるスキルにはどのようなものがあるのでしょうか。フィールドセールスとの違いを意識しながら、具体的にみていきましょう。

インサイドセールス中のイメージ

1.非対面でのコミュニケーションスキル

インサイドセールスは、顧客と対面することなくコミュニケーションを取る必要があります。互いに顔が見えない状況で、顧客のニーズを正確に読み取り、顧客が必要とする情報を的確に伝えるスキルが求められます。

また、マーケティング活動に必要な情報を顧客から引きだしたり、案件化した見込み顧客の情報をフィールドセールス担当者に伝えるうえでも、高度なコミュニケーション能力が不可欠です。

2.情報処理能力・PCスキル

顧客からヒアリングした内容をCRMなどのシステムへ記録したり、メールやチャットなど複数のコミュニケーションツール(セールステックツール)を駆使して営業活動を行うには、高度な情報処理能力とPCスキルも欠かせません。

例えばタイピングスキル一つとっても、より早い方が多くの見込客へ効率的にアプローチできます。Web RTCを活用して顧客とやりとりする際なども、(必ずしもデジタルネイティブ世代ではなくてもかまいません)デジタルツールに対する最低限のリテラシーを備えておく必要があります。

3.協調性を持って業務に取り組むスキル

インサイドセールスの成功を左右する重要なポイントとして、円滑な組織づくりがあります。自部門内の密なコミュニケーションはもちろん、マーケティングや営業などの他部門との連携は重要です。同じ施策の実行者であることを忘れずに、協調性をもって業務を進められることは大事なスキルの一つです。

4.関係構築スキル

インサイドセールスでは、同じ顧客に対して何度もコンタクトを取り、関係性を構築していきます。相手の懐に入って信頼関係を築き、案件化やその先の受注へとつなぐことができる、関係構築のスキルが重宝されます。

顧客には気に入られるものの、なかなか営業成績が上がらないフィールドセールス経験者が、インサイドセールスで花開くといったケースも少なくありません。

インサイドセールスマネージャーの業務

営業組織に営業パーソンを統括する「マネージャー」がいるように、インサイドセールスにも、インサイドセールス担当者を正しく導くマネージャーの存在が欠かせません。ここでは、フィールドセールス(訪問営業)と異なる点も踏まえ、インサイドセールスマネージャーの役割や必要なスキルをみていきましょう。

マネージャーの業務・役割

インサイドセールスマネージャーの役割

インサイドセールスマネージャーの仕事には、以下のようなものがあります。

  • インサイドセールス活動の施策立案
  • インサイドセールス活動の実績管理と改善策立案
  • インサイドセールスのスキル指導
  • インサイドセールスのモチベーション管理
  • インサイドセールス活動の社内啓蒙

これらはいわゆる“営業マネージャー”の役割と同じですが、その具体的な内容においてフィールドセールスとは大きく異なる点を、両者の業務プロセスや業務形態の違いからみていきましょう。

評価のポイント

フィールドセールス:受注額(活動の最終成果)
インサイドセールス:活動数、会話成功数など(営業プロセスごとの活動実績)

一日当たりのコンタクト数

フィールドセールス:多くても4~5件
インサイドセールス:少なくても7~10件くらい

活動対象

フィールドセールス:既存顧客、インサイドセールスからバトンを渡された高確度の案件など比較的狭い領域を担当
インサイドセールス:新規獲得リード、既存顧客、休眠顧客など広範囲を担当

インサイドセールスとフィールドセールスの違い
インサイドセールスマネージャーに求められるのは「緻密さ」と「スピード感」

上述のようなフィールドセールスとの違いを前提に、インサイドセールスのマネージャーには、以下のような点で「緻密さ」と「スピード感」が求められます。

データの分析/集計

活動の最終成果である受注額が重要視されるフィールドセールスに対し、インサイドセールスは営業プロセスごとの活動実績(活動数や会話成功数など)を成果として評価します。

導入効果や費用対効果を経営層へ定例報告し、データを要求された際にも直ちに提示できるよう、データの管理を日頃からしっかりと行う必要があります。

活動プラン策定

担当顧客の数が多い分、施策自体に問題点があったり会話内容に間違いがあったりした場合に、それに気づかぬまま活動を続けてしまうと、軌道修正のためのコストが膨大にかかり、多くの顧客や関係者に影響を及ぼしかねません。

また、リストが膨大化することで、滅多に活動せず埋もれてしまう対象顧客も出てしまいがちです。いたずらにリストを食いつぶすことのないよう、適切で偏りのない活動プランを立てる緻密さが求められます。

進捗管理

営業やマーケティング活動のデジタル化が進み、セールステックツールも増えたことで、活動履歴が全てデータとして可視化される時代になりました。MA(マーケティングオートメーション)のスコアリングデータを元にコール対象が抽出され、コールの結果をCRMに残すことが一般的となり、CTI導入によりコール発信件数や受信件数も時間帯ごとに把握可能です。

これらのデータを有効に活用するためには、効果検証を早めに行って問題点を洗い出し、改善策につなげていかなくてはいけません。マネージャーには、PDCAサイクルを早いサイクルで回すことが求められるのです。

インサイドセールスとMA・CRM・CTIの関係図

育成とモチベーション管理

先に挙げた「データの分析/集計」「活動プラン策定」「進捗管理」の3つは、デジタル基盤が進化し続けることで、将来的にはAIで代替できる役割かもしれません。しかし、生身の人間であるインサイドセールス担当者の育成とモチベーション管理は、AIでは代替できない重要な役割です。

インサイドセールスは、日本においてはまだ営業手法として十分に浸透しているとは言えず、確立した方法論も出回っていません。現場では手探りで試行錯誤しながら育成に当たっているケースが多く、メンタルケアや将来のキャリア形成に対するアドバイス、モチベーション管理は、今後ますますスピード感を持って開拓されるべき重要な課題です。

おわりに

インサイドセールスの組織と担当者に求められるスキルは、フィールドセールスで求められるスキルと似て非なるものがありますが、両者に共通するのは「高いコミュニケーションスキル」です。両者の適性や役割をきちんと見極め、的確に人員配置を行うことが、インサイドセールス成功の鍵となるでしょう。

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2002年の設立以来、インサイドセールスによる法人営業改革の支援を行ってきた「ブリッジインターナショナル」。日本におけるインサイドセールスのリーディングカンパニーとして、IT、通信・情報、流通、製造などの幅広い業種の企業に対し、「仕組み」「リソース」「道具」などさまざまなインサイドセールスのサービスをご提供し、多くの実績を積み上げてきました。当コラムは、多数のクライアント企業でインサイドセールス組織の立ち上げ・導入支援・MA活用支援などに携わってきたコンサルタントが、これまで蓄積したノウハウを元に執筆したものです。

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