コンサルタントが語る!CRMをBtoBマーケティングで導入する前に知っておきたいこと

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CRM(Customer Relationship Management)(顧客関係管理)とは

CRM(Customer Relationship Management)は1990年代から広まりつつあるマーケティング手法で「顧客管理」あるいは「顧客関係管理」とも呼ばれています。近年、BtoBマーケティングやインサイドセールスの現場で多く取り入れられ、顧客との関係構築には欠かせない存在です。

この記事では、BtoBマーケティングにおけるCRMの効果的な活用方法や、導入成功のためのポイントを説明します。

CRM(Customer Relationship Management)とは?

CRMとは顧客情報を管理・分析し、その結果をもとに顧客ごとに適したアプローチを行って、売上に繋げる仕組みを総称した言葉です。ITを活用した顧客情報の蓄積や分析が前提となるため、CRMを支援するシステムやツールそのものを指す場合もあります。

見込み客や既存顧客との関係に重きを置き、リピート率を向上させることでLTV(Life Time Value/ライフタイムバリュー)の最大化が実現できるため、マーケティングや営業戦略構築の根幹を担う考え方と言えます。

※LTV(Life Time Value)についての詳しい記事はこちらをお読みください
LTV(Life Time Value)とは? その意味、算出方法について、わかりやすく解説 します。

CRMの仕組み図

CRM普及の背景には「マスマーケティングの終息」がある

CRMが日本で普及し始めた背景には、従来型のマーケティングや営業手法の行き詰まりがあります。

昔のように大量の広告やCMを打つだけでモノが売れる「マスマーケティング」の時代が終息を迎え、顧客ごとの属性や興味・関心、趣味・嗜好の違いに合わせた「One to Oneマーケティング」が注目されるようになりました。そんな時代の流れとともに、適切なタイミングと伝達方法で顧客とコミュニケーションすることが求められるようになったのです。

まずは「既存顧客」との関係を強化する

CRMのゴールは、顧客の継続的な購買行動へつなげることです。CRMの運用方法は企業の戦略によってさまざまですが、一般的には、まず既存顧客との関係強化に活用するのが良いとされています。

その理由は、マーケティングでよく用いられる「1:5の法則」が関係しています。これは既存顧客をフォローするコストを1としたとき、新規顧客獲得のコストはその5倍かかるということを表しています。この法則を理解すれば、既に自社で取引実績を持つ既存顧客へ、再度アプローチする方が効率的であることがわかるでしょう。

1:5の法則

既存顧客へアプローチする際は、取引実績が豊富な顧客をターゲットとして優先的に絞り込みましょう。アップセル・クロスセルの可能性が高い案件に注力することで、早い段階での効果が期待でき、売上の見通しも立てやすくなります。

BtoBマーケティングでCRMを導入する前にやるべき4つのこと

BtoBマーケティングの現場でCRMを上手に導入・運用するために、まずはその全体像を「事業戦略」「実行プラン」「支援システム」「役割分担」の4つに切り分けて考えるとよいでしょう。

CRMの仕組みイメージ

1. 顧客を中心に据えた事業戦略

真の意味でCRMを導入するためには、顧客を中心に据えた事業戦略が必要です。自社の強みや技術ばかりを優先したプロダクトアウトの発想で立てられた事業戦略では、CRM本来の力を発揮することができずに、生み出される結果も表面的なものになってしまいかねません。

事業戦略の見直しに適したフレームワークとして、「3C分析」を用いるのも効果的です。自社(Company)・顧客(Customer)・競合(Competitor)を客観的に分析することで、自社の強みと弱みが明らかになり、進むべき方針を定めやすくなります。

2. 実行プランの策定

事業戦略を実現するために、次のような施策を実行プランとして具体化します。

  • 顧客情報の獲得(リードジェネレーション):Webサイト訪問、イベント・セミナー、営業交換名刺、など
  • 顧客の興味・関心の醸成(リードナーチャリング):メルマガ配信、イベント・セミナー開催、キャンペーン実施、など

また、インサイドセールスとフィールドセールスとが協働して営業活動を行う場合には、それぞれがどの段階で顧客のフォローを行うのかなど、具体的な営業プロセスについても、事前に決定しておきましょう。

3. CRMシステム・ツールの選定

実行プランの策定と並行して、「CRMシステム(ツール)による運用管理」を検討する必要があります。CRMを支援するシステムは多くの企業から開発・提供されていますが、どのプロダクトが自社の戦略に適合するのか慎重に検討しましょう。

自社の組織形態や運用フローに合わせて、システムをカスタマイズできるかどうかも重要なポイントです。

4. 組織ごとの役割分担を明確にする

組織(部署・チーム)ごとの役割分担も重要です。マーケティングや営業だけではなく、CRMシステムの運用担当や効果測定を行うシステム部隊、経営企画や担当役員など関係者すべてを含め、複数の組織を横断する体制づくりが求められます。

ここでCRMの根幹をなす戦略が明確化されていないと、組織間で利益相反による対立が起こるというのはよくある話です。各組織・個人が担うべき業務が明確になるまで、時間をかけて話し合いを重ねましょう。

おわりに

既存顧客のマーケット拡大に効果的なCRMを導入する企業は、今後さらに増え続けるでしょう。重要なことは「とりあえずうちもやってみよう」という導入ありきの考えではなく、自社の運用プロセスやフローの全体像を見極めて導入を進めることです。

社内のリソースだけでは思うように導入が進まない時や、段取りの決定が難航する場合は、CRM導入のノウハウをもった外部のコンサルティング会社に助言を求めてみても良いかもしれません。

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2002年の設立以来、インサイドセールスによる法人営業改革の支援を行ってきた「ブリッジインターナショナル」。日本におけるインサイドセールスのリーディングカンパニーとして、IT、通信・情報、流通、製造などの幅広い業種の企業に対し、「仕組み」「リソース」「道具」などさまざまなインサイドセールスのサービスをご提供し、多くの実績を積み上げてきました。当コラムは、多数のクライアント企業でインサイドセールス組織の立ち上げ・導入支援・MA活用支援などに携わってきたコンサルタントが、これまで蓄積したノウハウを元に執筆したものです。

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