規模が大きく、歴史ある企業であればあるほど、たとえ営業フローが非効率であったとしても社内から声をあげ、改革を実現することは簡単ではありません。
本コラムでは、大手IT企業E社の事例をもとに、インサイドセールス導入によって抜本的な営業改革を行い、成果を上げるポイントをご紹介します。
目次
業務改革の必要性は感じていたものの、打つ手がなかった
今回事例をご紹介するE社は、大手IT企業。ご担当は営業部長のE様です。
E社のターゲットは中堅企業。
ご相談いただいた当時、5年連続で売り上げが減少しており、営業改革を行わなければならないという意識がありました。
営業改革によって変革していかなければならないという意識はあったものの、売り上げ減少の原因が特定できておらず、何から着手していいのかと途方にくれている状況でした。
「古い体質の会社に合うだろうか」という不安
インサイドセールス導入を検討されたきっかけは、当社との出合いからです。
当社の別事業でE社と打ち合わせする機会があり、E社のターゲットが中堅中小企業であること、またSI以外のパッケージやソリューションなどのサービスも提供していることから、ひとつの解決策としてインサイドセールスをお勧めしたのです。
当時E様はインサイドセールスをご存じなく、競合他社がインサイドセールスという手法によって実績を上げていることに驚かれている様子でした。
率直な感想は「古い体質の当社に合うのかわからないが、興味はある」ということでした。
“新規顧客開拓”のみを担当するインサイドセールス部門を設立
まず、 売り上げ減少の根本原因を洗い出すため、現状分析とBPRコンサルティングを3ヶ月間にわたって実施。
すると、営業プロセスに課題があることが明らかになりました。
新規顧客開拓にまったく時間を割けておらず、また、新規顧客開拓に時間を割ける体制にもなっていなかったのです。
具体的には、1ヶ月当たりの時間のうち、新規顧客開拓に費やすは10%で、かつその半分は移動時間であったのです。1ヶ月の労働時間を160時間と考えたときに、新規顧客開拓に費やしてお客様と接している時間はたったの8時間でしかありませんでした。
その課題を実現する方法として、新規顧客開拓のみを担当するインサイドセールス部門を創設することをご提案。
インサイドセールスアウトソーシングで当社スタッフを配置すると同時に、E社社員のインサイドセールストレーニングも実施しました。
インサイドセールス導入直後は、インサイドセールススタッフとして配置されたE社社員は戸惑いを隠せない様子でした。
しかし当社スタッフをベンチマークとして活動を続け、半年後には安定した結果を出せるようになりました。
E社社員によるインサイドセールスと当社スタッフによるインサイドセールス、その両輪での活動を1年間実施。
E社社内に創設したインサイドセールス部門を担当したのは、訪問営業部門から部署異動した社員。
そのため既存顧客の売上低下を懸念されていましたが、顧客企業の売上に影響はなく、新規顧客開拓数が前年対比10倍以上の成果となりました。
今まで行ってきた営業活動の非効率性を改めて認識されたそうです。
この事例のポイント
大企業体質のクライアント。
上席の中には営業改革に懐疑的な意見もあった様子でしたが、BPRコンサルティングからスタートし、その結果のデータを踏まえてインサイドセールスの必要性をご説明できたことが導入の決め手となりました。
既存顧客のフォローが中心となり、新規顧客開拓が後手に周りがちなケースでは、まずは新規顧客のみを担当する部門を創設するのが改革への近道でしょう。
インサイドセールス導入当初、新規顧客開拓担当者を2名配置。
年々拡大し、新規顧客のみならず、既存のお客様のうち“受注単価が比較的小さい”お客様へのクロスセルの提案も開始しました。今回のE社のように、メイン事業の他、単価の小さいメニューも展開されている企業には特にご参考いただきたい事例です。