外資系の日本法人に持ち込まれたインサイドセールス
一昔前は属人的で、暗黙の了解で「お前に任せた!」と言いながら営業担当を使っていたのが日本の文化でもあった。
ところが外資系の日本法人となれば、欧米の営業モデルが入ってくるのは当然で、本社が活用しているものなのだから、日本法人でも使おうではないか、という話になる。アメリカでも、「日本もインサイドセールスを導入しろ」という声は、散々聞かされてきた。しかし日本側としては何をすればいいのかわからず、結局テレフォンアポインターを配置する程度で終わってしまう企業もよく見られた。
ちょうどそれと同時期にインサイドセールスを提供するブリッジインターナショナルを設立したこともあり、ご縁のあったグローバルIT企業がインサイドセールスの導入を決めてくれた。その後、当社は同様の外資系日本法人のインサイドセールス導入を次々とお手伝いさせていただき、それらの立ち上げで多くの経験と実績を蓄積することができた。多くは本社ですでにインサイドセールスを導入しており、本社側の方々も日本の導入プロジェクトに参画され、それも我々には貴重な情報・ノウハウの獲得となり、現在のブリッジインターナショナルの土台にもなっているわけだ。
会社を設立してから10年弱ほどは9割以上が外資系の顧客だったが、ここにきて、日本企業が積極的にインサイドセールスを検討してくれるようになってきており、うれしい限りだ。
時代と共に変化する「営業」と「顧客」の関係性
インターネットのない時代は、営業に行くこと自体にバリュー(価値)があった。「うちの会社は、こんな課題解決のソリューションも扱っていますよ」、「うちの会社には、貴社と同じ業態の会社のこんな事例もありますよ」と売り込むと、「さすが優秀な営業だ、事例もあるのか!」と褒められたものだ。
ところが、今は誰もがインターネットから必要なだけ情報を集めることができる。顧客を満足させ、発注を決定させるような情報を持ち合わせていない単なる自社商品の営業では、受注は取れないのだ。
何かあれば、みんなインターネットで調べることから始めるようになった。こうした情報化社会にあって、顧客の購買プロセス含め、あらゆるもの・ことが変化しているが、営業モデルだけが変わっていない。
開発や生産部門、人事や総務など他のセクションは業務の効率化を図っているというのに、営業部門だけは最初から最後まで一人でやるという属人的な手法が未だにまかり通っている。
世の中の変化に合わせて営業モデル自体も変えないと、時代に適合できるわけがない。
一昔前までは、顧客の側も、電話やメールでアプローチされると、顧客を軽視しているのではないかと思われることが多かった。
非対面で対応していると「営業なのに足を運ばないのか?」と言われたりもした。営業に携わっている方なら、こうした経験はお持ちであろう。
ところが今は、電話やメールでのアプローチのほうがむしろ好まれるようになってきた。
担当営業を出迎える顧客側も、話を聞くための時間を割き、会議室を予約し、お茶なども用意しなければならない。そのような手間を取られるくらいなら、電話やWEBを使って、30分ほどの時間で生産性のある会話をしたほうが、よほどお互いのためになる。
このように顧客のニーズともあいまって、見込み客への訪問営業から、見込み客の自社商品への関心度や案件化確度を測ることができるインサイドセールスへと比重をシフトしている企業が増えているのも、そういう時代の背景があるからだ。
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