インサイドセールスの導入を検討する際、社内リソースを活用して内製すべきか、専門の業者へアウトソーシングすべきか、選択に迷う企業は多いものです。この記事では、インサイドセールスの立ち上げにおいて、自社リソース(内製)とアウトソーシング(外注)のメリットやデメリットについて解説します。
最初にインサイドセールスの役割・特長・導入の流れなどについて知りたい方は下記ページをご参照ください。
インサイドセールスとは?その役割・特長と導入の効果を徹底解説
目次
インサイドセールスのリソース活用パターン
インサイドセールスの立ち上げに向けては、主に4つのステップがあります。
- セールスモデルの策定
- シナリオの設計
- 円滑な営業組織づくりとプロフェッショナルの配置
- デジタルマーケティング支援ツールの選定・導入
【参考記事】インサイドセールス立ち上げ・構築に欠かせない4つのステップとそれぞれのポイント【コンサルタント監修】
なかでも「円滑な営業組織づくりとプロフェッショナルの配置」はインサイドセールス立ち上げの要とも言える重要なポイントです。ここでいうプロフェッショナルとは、インサイドセールス専門の研修を受講し、知識を修得したスタッフのことを指します。
社内外いずれのリソースを活用するにせよ、しっかりとした組織の基盤を持ち、インサイドセールスのノウハウを心得た専門スタッフを配置することが重要なのです。
実際のインサイドセールス担当者の選定においては、以下のどちらかを採用するのが一般的です。
- 内製の場合(自社リソースの活用)
フィールドセールス(訪問営業)経験者や、新たに人員を採用する - 外注の場合(アウトソーシング)
専門の知見を持ったベンダーにアウトソーシングする
近年はこれら2つを組み合わせた、ハイブリット(内製+アウトソーシング)のケースも増えています。
内製(自社リソースの活用)
内製の場合、外部へ業務を委託せずに、自社内のリソースやノウハウを活用してインサイドセールスを実施します。
- コストを抑えて自社リソースを最大限に活用したい企業
- 自社にノウハウを蓄積したい企業
などに向いています。
メリット
リードの反応に対し、柔軟でスピーディな対応が可能
マネージャー(管理者)とインサイドセールス担当者が同じ社内にいるため、リード(見込み客)の反応によって施策を見直したり、柔軟に対応を変化させるなど、よりスピーディにPDCAを回せます。トラブルが起きても迅速に対応できるのも大きなメリットです。
自社に運用のノウハウを蓄積できる
例えば、マーケットやターゲットへの理解・効果的なアプローチの方法・適切なコミュニケーションなど、汎用性のあるノウハウが社内に蓄積できれば、社内の別事業や別のサービスへの展開が期待できます。
社内の他部門との連携が取りやすい
インサイドセールス導入が成功するかどうかは、社内の他部門とどれだけ連携できるかによって大きく左右されます。マーケティング部門や営業部門などと密に連携することで、全体の流れが把握でき、果たすべき役割が認識しやすくなります。
豊富な商材知識を活かせる
自社の商品やサービスを熟知した社員が対応するため、より深いアプローチや提案が可能です。特定の商材に対して、リードから込み入った質問があった場合も、社内の開発部門に問い合わせるなど素早い対応が可能です。
他にも、営業のキャリアパスとしての位置付けや、外注(アウトソーシング)に比べコストを削減できるといったメリットも挙げられます。
デメリット
担当者の採用や育成コストがかかる
社内にリソースが不足していたり、適切な人物が見当たらない場合は、新たに採用活動を行い育成する必要があります。自社社員としての採用は、アウトソーシングに比べて採用コストが比較的高額になる傾向があり、研修のための教育関連費用も想定しないといけません。
設備投資が必要
コール活動に欠かせない電話機やCTIシステム、クラウド電話サービスなど、まずは環境の整備が必要です。CTIシステムとの連動で業務を効率化できるCRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援ツール)の選定なども、新たに検討する必要があるでしょう。
ノウハウの習得や蓄積に時間がかかる
インサイドセールスを内製する場合、社内に専門的な知見やノウハウを持ち合わせていなければ、一から基盤を整えていかなければなりません。ノウハウの習得や蓄積に時間を要することを視野に入れ、中長期的に導入を検討しましょう。
アウトソーシング(外部の専門ベンダーに業務を依頼)
アウトソーシングの場合は、外部の専門業者へインサイドセールスの業務を委託します。
- 実績のある専門ベンダーに依頼し確実に効果を出したい企業
- 社内リソースが不足している企業
などに向いています。
メリット
設備投資や教育・管理が不要
整ったコール環境を持つ専門ベンダーへ外注することで、社内に新たな設備を導入する必要がありません。また、あらかじめ高い知見やノウハウを持っているので、教育を含むマネジメントや運用を任せられ、コア業務に集中できます。
正社員の採用コストを抑えられる
インサイドセールス担当者として自社で正社員を採用するよりも、一般的には外注した方が採用にかかる費用が抑えられます。外注というだけでコストがかかると判断せずに、費用対効果をよく考えた上で検討することが重要です。
BANT情報など、質の良いリード情報を効率的に獲得できる
専門ベンダーは、BANT情報などマーケティング活動に有効な情報を、効率よくリードからヒアリングするノウハウを持っています。インサイドセールスによる有効な商談数や売上への貢献は、どれだけ詳細な情報を引き出せるかによって左右されます。外注することは、質の高いリード情報を効率的に獲得することに繋がるのです。
デメリット
事務手続きが煩雑になることがある
外注することでほとんどの業務の効率化が期待できますが、顧客への見積りや発注処理など、事務的な手続きについては外注先だけで完結できないケースが発生します。かえってやりとりが煩雑になり、対応が遅れがちになってしまうこともあります。
新たに商材知識の研修が必要
内製であれば案内するのは自社の商品やサービスですが、アウトソーシングの場合、委託先の業者が一から商材に関する知識を習得する必要があります。また、扱う商品やサービスについて常に最新情報をアップデートしなければ、リードへ誤った情報を提供してしまうリスクもあります。
自社にノウハウが蓄積しない
外注することで業務効率化や営業コスト削減が図れる一方で、自社の商材を営業するノウハウを社内に蓄積することができません。将来的に内製化の必要が出てきても、また一から仕組み作りをしなければなりません。
他にも、外注費用がかかる、他部門との連携がしづらいなどのデメリットが挙げられます。
ハイブリット(内製+アウトソーシング)
ハイブリッドは、先に紹介した内製とアウトソーシングとを組み合わせてインサイドセールスを実施する方法です。
- 専門ベンダーからノウハウを享受し自社要員に蓄積したい企業
に向いています。
メリット
アウトソーシングに加え自社リソースが入るため、自社内にナレッジが蓄積しやすい
デメリット
自社リソースとアウトソーシングの併用となるため、コストが割高になることが多い
ハイブリッド方式では、内製とアウトソーシングのメリットをバランスよく取り入れられるため、今後ますます導入を検討する企業が増えるでしょう。
【ハイブリット(内製+アウトソーシング)の参考事例】
事例にみる 抜本的な営業改革で成果を上げる方法(大手IT企業E社)
おわりに
インサイドセールス立ち上げに向けて、内製・アウトソーシング・ハイブリッド、どのパターンを採用するかは企業の目的や状況によって異なります。リソースや現状の業務バランスへの考慮はもちろんですが、「費用対効果」や「自社にインサイドセールスのノウハウを蓄積する必要があるかどうか」なども見極めて、検討すると良いでしょう。
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