製品の保守やクラウドサービスなど契約更新があるような事業の場合、新規顧客の開拓を進めると同時に既存顧客との関係を維持・強化し、契約を更新=解約をさせないことが重要になるでしょう。
本コラムでは、外資系教育サービス企業A社の事例をもとに、インサイドセールス導入によって既存顧客の継続率を高めるポイントをご紹介します。
目次
既存顧客の突然の契約解除が課題だった
クラウドサービスをはじめ、近年は、安価な価格で提供されるサービスが増えています。
手軽で安価な他社サービスに惹かれてか、もしくはWebによって情報が手軽に得られるようになったからか、A社では既存顧客の解約が続いていたそうです。解約の実態は、自社との契約を解除し、他社に乗り換えるケースがほとんどでした。
解約により取引顧客数が減ることは、大きな課題です。
それはもちろんですが、解約の意思や理由、そのタイミングを事前に把握できず、突然解約されてしまって、大切なお客様を逃す――
そのことにも危機感を抱いていらっしゃいました。
取引顧客数の減少を食い止め、既存顧客に引き続きサービスを愛用し続けていただくこと。
もちろんそれだけでなく、さらに新たなお客様を獲得していくこと――
それが、Aさまが解決すべき課題でした。具体的には、毎年対前年120%の売上予算を設定されていたと聞いています。
フォロー架電により、解約防止に取り組んだ
初回面談では、A社の営業状況を詳しくお聞かせいただきました。
毎月の予算に追われ、既存顧客のフォローにはなかなか時間を割けていない様子でした。もちろん、CSを向上することで継続的にサービスをご愛用いただき、結果的に良い効果があるということは理解されていました。それでも新規顧客開拓の目標がある以上、優先度が下がってしまっていたのです。
そこで当社がご提案したのは、インサイドセールスを活用して既存顧客のフォローを実施すること。
具体的には、当社の研修を受けたインサイドセールス部隊を結成し、既存顧客の契約更新月の半年前に確認の電話をするしくみを整えました。目的は、既存顧客の解約防止です。
また予算達成のため、マーケティング部門と連携し、マーケティングオートメーション(MA)のデータを活用して効率的な新規案件発掘活動を行うことにしました。
継続率アップと同時に、クロスセル・アップセルも実現
架電での解約防止活動では、解約の意向を事前に察知することで、インサイドセールスや訪問営業からお客様に対してさまざまな提案を行えるようになり、年を重ねるごとに解約率を1%ずつ下げています。今回の施策の主目的は解約防止でしたが、それにとどまらず、お電話の中で既存顧客にヒアリングを行い、クロスセル、アップセルへとつなげる営業活動も積極的に実施するようになりました。
当初は解約防止のみでしたが、徐々にクロスセル、アップセルの提案をスタートされ、やがてインサイドセールスだけで受講案内からお申し込みまでを完結させる流れが完成しました。新規顧客の獲得が目的だったマーケティングオートメーションを既存顧客にも活用し、対前年150%を超える成果を上げています。
インサイドセールス成功のポイント
顧客が月単位や年単位で契約の見直しを行う事業においては、インサイドセールスによる離反防止活動が効果的。架電でヒアリングを行うことによって、さらなる提案につなげることも可能です。