【インサイドセールス】について「マーケティング会社年鑑2017」に寄稿した記事が掲載されました!

インサイドセールス TIPS
コラム
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本内容は、宣伝会議「マーケティング会社年鑑2017」、2017年 44、45ページに寄稿した内容です。


■インサイドセールス

インサイドセールスは訪問しない営業のことで、テレマーケティングとは似て非なるもの。
近年、インサイドセールスを活用する企業が増えてきたが、
成功要因のひとつとしては対面営業とインサイドセールの役割の明確化である。

インサイドセールスとは、言葉からのイメージが湧くように、対面営業の反対にある非対面営業活動やその非対面営業活動を行う人を示しており、端的に説明すると「訪問しない営業」を表す。インサイドセールスに似て非なるものとしてはテレマーケティングというものがあるが、両方とも電話を使うコミュニケーションで非対面であることに変わりはなく、何が違うのかということがわかりにくいものとなっている。まずは、マーケティング・営業プロセスにおける担当プロセスの違いが両者の違いとだけ認識して、後述のインサイドセールスに関する説明でインサイドセールスをご理解いただきたい。


■インサイドセールスが注目された背景

もともとは国土の広い米国において、1970年代、営業活動の効率化を目的とし、電話による営業活動が発展した。それがいつしか、インサイドセールスとして切り出された。米国に比べれば圧倒的に狭い日本において、昨今インサイドセールスが注目された背景には図1の要因が関係している。

日本企業はものづくりに対しての評価は高いものの、営業活動に関しては常に課題を持ち続けていると言われている。属人的な営業スタイルが多く、スキル・ノウハウ・情報が組織に蓄積しにくく、営業が抜けると、顧客のことがまったくわからないといったことも少なくない。また、団塊の世代の退職、少子高齢化、営業職の不人気など、近年営業職の人数は減少傾向にあり、このような営業の課題を解決する手段として、インサイドセールスが注目されている。

また、1990年代後半から2000年代初めにかけて、外資系IT企業がこぞってインサイドセールスを活用し始めた。当時はテレセールスという表現もされていたが、電話による営業活動によって売上が伸びていることに、さまざまな企業が気づき始め、インサイドセールスを活用する企業が増えてきた。

加えて、顧客情報を管理するSFA/CRM、マーケティング活動を効率よく行うMAなどのIT技術・インフラの進歩により営業活動の対象が可視化され、営業リソースの見直しなどが行われるなかで、インサイドセールスへの期待が高まってきた。

図1:インサイドセールスが注目された背景

内的要因外的要因
・属人的な営業スタイル
・営業リソースの減少
・インサイドセールスの成功モデルの存在
・IT技術/インフラの進歩

■インサイドセールスは何をするのか

冒頭で「訪問しない営業」と記したが、インサイドセールスといっても色々なシーンで活用されており、インサイドセールスのイメージは人によっては大きく異なることもある。例えば、対面営業のアシスタント(見積書の作成や、顧客への郵送や簡単な資料説明)をインサイドセールスと表現しているケースもあれば、キーパーソンの発掘から、非対面による契約獲得まで行っているインサイドセールスもある。マーケティング・セールスプロセスにおいて、どのプロセスをインサイドセールスで行うかについては、さまざまな議論があるが、インサイドセールスの責任としては以下のようなものと言える。

・ 見込み顧客の創出:インバウンドリードや企業リストに対する電話・メールによる見込み顧客の創出
・ キーパーソン開拓:見込み顧客の組織におけるキーパーソンの開拓ならびに関心の生成
・ 顧客の理解:顧客のビジネス環境・課題、ニーズを把握する
・ 情報の管理:割り当てられた顧客のデータベースの情報の拡大、メンテナンス
・ 営業目標達成:オンラインデモなども活用し自身、もしくはほかの営業リソース(対面営業や代理店)とチームを組んで、顧客から契約を獲得し、目標を達成する

電話やメール、オンラインデモを活用するといった言葉が入っているものの、ほぼ対面営業と違いはない。繰り返しになるがインサイドセールスは「訪問しない営業」である。

しかし、法人営業の世界では非対面で契約まで行うことが困難な商材は多数あり、そうした商材の場合は、図2のようにマーケティング、インサイドセールス、対面営業がプロセスを分担するモデルが多く活用されており、日本においてのインサイドセールスはこのモデルが大多数を占めているといえる。

図2-1:基本的なインサイドセールスモデル

図2-1:基本的なインサイドセールスモデル

 

図2-2:商材の困難さに応じたプロセス分担(例)

図2-2:商材の困難さに応じたプロセス分担(例)


■インサイドセールスの成功要因

インサイドセールスの成功要因として考えられるのは基本的には、営業活動、マーケティング活動の成功要因と近しく、以下に集約される。
・ 顧客へのメッセージ:非対面かつ短時間で的確に顧客へ伝えるメッセージの検討
・ マーケティング・営業プロセスの定義:用語やプロセスをマーケティングや営業部門と共通認識を持つ
・ 指標:業績への貢献を測る指標を設定
・ 適切な管理ツール:セールスプロセス管理、ワークフロー、パイプライン管理などを備えた管理ツールの構築
・ 人材:インサイドセールスに必要な要件の明確化とトレーニング/コーチング体制の強化

日本においては特に、プロセスに関して、対面営業とインサイドセールスの役割が不明確で、指標があいまいなものが散見される。これは、インサイドセールスの導入の際に、営業部門を本当の意味において巻き込んでいることができていないからだ。インサイドセールスの導入に当たっては図3のように、事前の設計部分についてしっかりとした議論をすべきだ。

図3:導入前の検討事項
図3:導入前の検討事項


■今後のインサイドセールス

競争の激化、労働力人口の減少、営業をとりまく環境は厳しいものが多く、より一層の営業活動の生産性の向上が求められる中で、インサイドセールスはひとつの解決手段へ期待をもたれていると感じている。

近年IT業界ではクラウドサービスが増えてきており、非対面での契約獲得はもちろんのこと、その後のサービスの利用促進(課金を増やすため)もインサイドセールスが行う、まさしく「訪問しない営業」を実践するケースも増えてきており、訪問営業からインサイドセールスへのシフトは進んでいくであろう。


出典
宣伝会議、「マーケティング会社年鑑2017」、2017年 44,45ページ


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2002年の設立以来、インサイドセールスによる法人営業改革の支援を行ってきた「ブリッジインターナショナル」。日本におけるインサイドセールスのリーディングカンパニーとして、IT、通信・情報、流通、製造などの幅広い業種の企業に対し、「仕組み」「リソース」「道具」などさまざまなインサイドセールスのサービスをご提供し、多くの実績を積み上げてきました。当コラムは、多数のクライアント企業でインサイドセールス組織の立ち上げ・導入支援・MA活用支援などに携わってきたコンサルタントが、これまで蓄積したノウハウを元に執筆したものです。

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