営業のターゲティング課題をAIが解決~効果的な営業リスト抽出を実現する「AIターゲティング」とは~

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日々の営業活動において「アプローチ先や提案商材が適切なのかわからない」「インサイドセールスのコール先選定や優先順位づけに時間がかかってしまう」などの課題を感じた経験はないでしょうか。営業のアプローチ先を選定する「ターゲティング」は、見極め方ひとつでその後の実績に大きく影響する、営業の初期段階でもっとも重要なプロセスです。

近年、生活やビジネスのあらゆるシーンでAIの活用が進んでいますが、新たな営業手法として浸透しつつあるインサイドセールスの現場においても、さまざまな業務でAIを有効活用できます。この記事では、効果的にアプローチ先を選定する「AIによるターゲティング」の仕組みや、ヒトとAIが共存するポイントについて解説します。

 

インサイドセールスへのAI活用

インサイドセールスの業務は多岐に渡りますが、実際にどのような場面でAIの活用が進んでいるのでしょうか。企業の営業施策や使用するシステムによっても異なりますが、代表的な業務支援機能としては以下のようなものが挙げられます。

  1. 会話分析
  2. 戦略的ターゲティング
  3. パイプライン(見込み案件)予測
  4. VOC(Voice of Customer)分析
  5. 会話ナビゲーション

【参考記事】AIを活用したインサイドセールス業務支援ツール「SAIN」

なかでも営業のアプローチ先を選定する「ターゲティング」は、どの企業にとっても欠かせないプロセスであり、生産性やその後の実績を左右する重要な業務のひとつです。

アプローチ先の選定「ターゲティング」の課題

従来の営業現場において、どの顧客にアプローチすべきかは、組織の方針や営業担当個人の属人的な判断に委ねられてきました。その結果、担当営業によって成果にばらつきがあらわれたり、優先度の基準が曖昧なまま無駄に工数を割いてしまうという課題があったのです。

また昨今は、テレワークの普及によって新たな営業モデル「デジタルセールス」が台頭し、これまでよりも営業生産性やデータ管理の徹底が求められています。顧客接点やリード数の減少により純粋な顧客数の積み上げが難しくなり、既存顧客に対するアップセル・クロスセルや休眠顧客の掘り起こしへと営業リソースをシフトする企業も増えています。

【デジタルセールスに関する参考記事】テレワーク/リモート営業時代の「インサイドセールス」と「デジタルセールス」

過去の膨大な取引データを分析して、成約パターンや顧客傾向を導き出す作業をヒトの手で行おうとすれば、多大な労力を伴います。その上、苦労して抽出した営業リストで思うような成果が出せなければ、競合他社に見込み客を奪われてしまいかねません。

こうした時代的な背景からも、今後さらにデータ管理とデジタル活用の重要性が高まることは間違いありません。AIは、ヒトによる属人的な判断やヒューマンエラーなどを排除し、客観的な視点と効率性をもたらしてくれます

AIによるターゲティングのしくみ

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AIによるターゲティングとは、顧客の見込み度合い(=確信度)を数値化(=スコア付与)し、適切に優先度づけされた営業リスト抽出までのプロセスをさします。これまで企業が蓄積してきた顧客データや取引履歴などから正解/不正解のモデルを学び、つぎにアプローチすべきターゲットを導き出してくれるのです。

AIによるターゲティングの流れは次のようになります。

1.学習用データ・評価用データの準備

まずはAIにかけるために必要なデータを準備します。企業が蓄積してきたデータをここでは「保有データ」と呼びます。各企業が保有するさまざまなデータを、さらに学習用データ(教師データ)と評価用データの2つに分割します。

  • 学習用データ=予測モデルを生成するためのデータ
  • 評価用データ=予測モデルの精度を検証するためのデータ

たとえば、Aという自社ソリューションがあったとします。Aの購入見込みリストを抽出したい場合、予測モデルとは「アプローチすべき顧客」にあたります。仮にソリューションAの取引データが過去3年分あったとすると、学習用データには過去2年分を、評価用データには直近1年分を分割して活用するといった具合です。

保有データの例には、以下のようなものがあげられます。

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2.機械学習(マシンラーニング)へのデータ投入

次に、分割した保有データのうち、学習用データを機械学習(マシンラーニング)と呼ばれるAIへ投入します。投入したデータをAIが機械的に処理・判断し、正解に近い「予測モデル」を生成します。

3.予測モデルの精度検証

2.で抽出された顧客は、この時点では営業へ展開できるほどの精度がありません。なぜなら学習用データのみに適合した結果だからです。保有データすべてを学習用データとせずに評価用データと分けたのは、AIが学習していない未知のデータに対しても正しい結果を出せるように検証するためです。

この工程で予測モデル生成のためのアルゴリズムや設定を繰り返しチューニングし、より確実なものへと精度を調整するのです。

4.ターゲティングリスト抽出

予測モデルの精度検証を経て、営業に渡すためのリストが抽出されます。AIを介すことでターゲティングリストに顧客の確信度判定が加わります。AIターゲティング前は見込み客が散在していたリストは、AIターゲティング後にはスコアの高い顧客が上位へ集約され、優先度付けされたリストとして再抽出されるのです。

実際のターゲティングリスト抽出では、アプローチすべき顧客のほかにも、売るべき商材のサジェスチョン提案すべき時期のレコメンドなども可能です。企業ごとに、目的にあったデータ策定とモデル生成を個別にカスタマイズするのが一般的です。

営業側は、AIによって抽出されたスコア付きリストをもとに見込み客にアプローチを行い、営業活動履歴をフィードバックします。そうすることで新たにAIに投入するデータが蓄積され、次第にAIターゲティングの精度もアップしていくという仕組みです。

ターゲティングの精度を左右するデータの質

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データクレンジング

AI・機械学習においては、ある程度保有データのボリュームが必要といわれていますが、ただデータ量が多ければ良いというわけではありません。整備されていない不適切なデータを使用すると、分析に悪影響を及ぼし、ターゲティングの精度が低下する原因にもなるからです。

特にBtoB営業においては、企業単位でデータが整理されている必要があります。たとえば同じ企業であっても、表記が統一されていなければ別の企業と判断されることもあるのです。データの重複や表記揺れ、粒度の違いなどがあれば統一し、ノイズや欠損データはあらかじめ除去しましょう。きちんとクレンジング処理されたデータを用いることが、AIの精度を向上させる大きなポイントです。

また多くの企業は、「AIへ投入することを想定してのデータ管理」をおこなっていません。そのためデータ整備にはある程度の工数がかかると覚悟した方が良いでしょう。データ量が膨大すぎて整理が困難な場合や、反対にデータ量が少なすぎてAI導入を諦めてしまう企業もあるようですが、あらゆる状況においてスコアリングは可能です。データ整備の段階で悩むのではなく、実装に向けて専門業社へ相談することが先決といえるでしょう。

AIは「集めるべきデータ」も導き出せる

AIによるターゲティングは、顧客の確信度にスコア付与するだけでなく、保有データのプロファイル項目のうち何が重要項目として寄与率が高いのかを導き出すこともできます。その項目によって顧客からのヒアリングを強化し、重要なデータの取得と充足を図れば、AIターゲティングの精度をさらにブラッシュアップすることが可能です。

予測モデルを作る上で、顧客の発言のうち何が重要項目とAIに見なされるかは、意外とわからないものです。不必要に思えるような情報であっても、顧客との会話からできるだけ多くのキーワードを拾い上げて蓄積し、効果検証を繰り返すことがより効率的な営業活動を手助けするでしょう。

おわりに

AIを活用したターゲティングによってアプローチすべき顧客がより明確になり、客観的でロジカルな視点が加わります。しかし、AIが導き出したスコアやターゲティングリストを、いかに使用するかは、結局のところヒトの判断に委ねられます。

スコアの上位から着手するのか、もしくは中位の顧客にフォーカスしてアプローチを進めるのか、戦略や方針をアレンジできるのはヒトでしかありません。各々の得意分野・役割をうまく住み分けし、共存しながら進めていくのが今後のターゲティング手法といえるのではないでしょうか。

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2002年の設立以来、インサイドセールスによる法人営業改革の支援を行ってきた「ブリッジインターナショナル」。日本におけるインサイドセールスのリーディングカンパニーとして、IT、通信・情報、流通、製造などの幅広い業種の企業に対し、「仕組み」「リソース」「道具」などさまざまなインサイドセールスのサービスをご提供し、多くの実績を積み上げてきました。当コラムは、多数のクライアント企業でインサイドセールス組織の立ち上げ・導入支援・MA活用支援などに携わってきたコンサルタントが、これまで蓄積したノウハウを元に執筆したものです。

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