BtoB営業とBtoC営業の違いからみるBANT情報の重要性〜インサイドセールスが法人営業に適している理由〜

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BtoB営業とBtoC営業の違いからみるBANT情報の重要性〜インサイドセールスが法人営業に適している理由〜、BANT、バント

BtoB(Business to Business)とBtoC(Business to Consumer)との違いといえば、ビジネスの対象となる顧客が、法人か一般消費者(個人)かという点が一番に思い浮かぶのではないでしょうか。
営業の世界でよく耳にする話として、BtoC営業で活躍した営業パーソンがBtoB営業へとフィールドを移しても、期待していたほど成果が出ないということがあります。それは多くの場合、個人向けの営業のやり方を法人に対しても実行してしまうためと言われています。

営業職の経験があっても、BtoB・BtoCどちらも経験してみなければ、顧客の特性やアプローチ方法などの違いを理解するのは、意外と難しいものです。

この記事では、BtoB営業で重要視されている「BANT(バント)」の観点から、BtoB営業とBtoC営業との違いに触れ、さらに法人営業の営業組織にこそインサイドセールスが適している理由について解説します。

BtoB営業とBtoC営業との違い

BtoB営業とBtoC営業との一番の大きな違いは、商品やサービスを販売する対象です。BtoCが個人(一般消費者)であるのに対し、BtoBは法人(企業間の取引)であることが特徴です。また一般的には、以下のような違いが対比としてよく挙げられます。

商材単価

  • BtoB:比較的高額
  • BtoC:比較的低額(車や住宅など高額な商材を除く)

購入者と決裁者

  • BtoB:購入者=決裁者とは限らない(複数人の承諾を得て決裁に至ることが多い)
  • BtoC:購入者=決裁者であることが多い

購入理由

  • BtoB:論理的・計画的(「自社にとってメリットがあるかどうか」が購入理由になる)
  • BtoC:感情的・衝動的(「欲しい」と思うことが購入理由になる)

検討期間

  • BtoB:比較的長い
  • BtoC:比較的短い

対象が法人であるか個人であるかによって、モノを購入する際の判断基準が異なるため、企業は自社のターゲットに合わせてマーケティング戦略や営業戦略を立てる必要があります。

商材単価・購入者と決裁者・購入理由・検討期間、この4つからBtoB営業とBtoC営業との違いを理解するには、BtoB営業で重要とされるBANT(バント)の考え方が役に立ちます。

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BtoB営業に欠かせないBANT(バント)とは

BANT(バント)とは、

  • Budget(予算)
  • Authority(決裁権)
  • Needs(必要性)
  • Timeframe(導入時期)

の頭文字で、BtoB営業の基本的な考え方のひとつです。予算・決裁者・必要性・導入時期、これら4つの情報が揃っていれば具体的な営業方針が立てられるため、BtoB営業の現場では、早い段階でまずBANT情報を聴取すべきとされています。

企業によっては、ここに「検討ソリューション」の情報が加わることがあります。自社の商品やサービスラインナップのうち、具体的に検討中のソリューションがあるかどうかという情報です。提案商材によっては売上予測に変動が生じたり、担当営業のリソース調整が必要になることもあるため、BANTと同様に重要なヒアリング項目として扱われるのが一般的です。

図表2-3 BANT定義

【参考記事:BANT(バント)とセールスモーション

Budget(予算)

BtoB営業で扱う商材は、車や住宅のような例外的に高額な商材を除き、BtoCの商材よりも単価が比較的高額です。初回のコンタクトで成約まで至るケースは稀であり、衝動買いもほぼありません。
まずは購入を検討している商品やサービスに、どれだけの費用を投じられるのかを確認することが重要です。いくら商品やサービスを気に入ってもらえたとしても、そのための資金がなければ成約には至りません。

予算の金額に応じて、自社に提案可能な商材やサービスがあるかどうかの判断ができ、提案内容も絞られます。ある程度の関係性がなければ聞きづらい情報のひとつではありますが、詳細な金額がヒアリングできれば、自社の売上予測も立てやすく、商談化すれば話が進みやすい傾向もあります。

Authority(決裁権)

BtoC営業の場合は、購入者本人と決裁者はイコールであることがほとんどです。買いたいと思った本人が購入者であり、同時に決裁権も持っています。

一方BtoB営業においては、商品やサービスを購入するのは基本的に「企業」ということになります。さらに、決裁権を持つのは多くの場合、商談担当者の上司や特定の部署、役員/経営層です。商談担当者が稟議をあげて決裁者に承認を得るのが一般的で、企業規模が大きくなるほど決裁に関わる人数や部署も増える傾向にあります。

ファーストコンタクトでいくら商談担当者の心を掴んでも、最終的に決裁者が「ノー」と言えばその商談はなくなってしまいますので、どこ(誰)に決裁権があるのかを把握しておくことは重要なのです。

Needs(必要性)

Needs(必要性)とは、BtoB営業においては主に企業が抱える「課題」を指します。企業が新たに商品やサービスの購入を検討する目的は、売上拡大やコスト削減などさまざまです。このNeeds(必要性)におけるBtoCとの違いは、購入に至る意思決定プロセス(=心理的プロセス)に現れます。

BtoC営業の場合、顧客(個人)は欲求や興味、「欲しい」という感情が主な購入理由になりますが、BtoB営業の顧客(法人)は、より合理的で客観的な意思決定プロセスを踏みます。投じたコストに対し、自社にどれだけのメリットがもたらされるかという費用対効果や事実・論理をより重視するのです。

Timeframe(導入時期)

BtoC営業の場合、一般消費者(個人)は商品やサービスを認知してから比較的短期間で購入に至ります。日用品などはなくなればすぐに、保険商品や住宅など、検討期間が必要なものでも数週間から数か月ほどで購入を決めるのが平均的です。

一方、BtoB営業では商材単価が高額なため、同じ商品やサービスであっても、実際の購入までに最低でも数社から見積もりを取って比較検討するのが一般的です。購入の意思決定にも多くの人物が介在し、総じて検討期間が長くなりがちです。

また、企業ごとの事情が存在し、直近の成約が難しいことがあるのもBtoB営業ならではと言えます。例えば「システムの買い替えは検討しているが、既存のオプションサービス契約があと半年残っている」といったケースなどです。その場合、半年後の有望見込み客として、現実的な導入時期が近づいたら再度アプローチすることになります。

なぜインサイドセールスがBtoB営業に適しているのか

BtoB営業とBtoC営業の違いからみるBANT情報の重要性〜インサイドセールスが法人営業に適している理由〜、BANT、バント

BANT(バント)の観点からBtoB営業とBtoC営業との違いについて述べてきましたが、実際のBtoB営業の現場では、はじめからBANT情報が揃った状態で営業活動に臨めるということはまずありません。BANT情報の重要性を理解しつつも、日々忙しい営業活動に追われ、見込み客の開拓まで十分に手が回らないのが現状です。

インサイドセールスは、顧客を訪問せずに主に電話やメール・チャットを活用して営業活動を行います。従来、フィールドセールス(訪問営業)が行なってきたリード(見込み客)育成のプロセスを担当し、購買意欲が高まった時点で訪問商談へとつなげるモデルが広く知られています。

またインサイドセールスの特徴として、BANT情報のヒアリングを徹底していることが挙げられます。リードの見込み度合いや確度を判断する基準のひとつとして、BANT情報の取得を採用しているのです。

このインサイドセールスとの分業体制により、フィールドセールスは訪問前に顧客の重要な情報を得られ、効率よく本来の営業活動に専念できるようになります。また、通常は何回か訪問した後で出てくる情報や課題が事前に把握できているため、はじめから質の良い提案が実現します。

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おわりに

BtoB営業で重要な「BANT(バント)情報」ですが、実際の法人営業の現場では、その重要性を認識しつつも効率的な取得に課題を抱えている企業は多いものです。

高額な商材単価・複数人に及ぶ決裁者・企業単位の課題解決・リードタイムの長期化、これらはBtoB営業ならではの難しさであり、営業担当者/営業組織にとってはやりがいや醍醐味でもあります。

そしてこの特徴こそが、法人営業とインサイドセールスの相性が良い理由でもあるのです。インサイドセールスとフィールドセールス(訪問営業)が互いに協働し効率化を図ることで、自社のさらなる成長に繋がるのではないでしょうか。

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2002年の設立以来、インサイドセールスによる法人営業改革の支援を行ってきた「ブリッジインターナショナル」。日本におけるインサイドセールスのリーディングカンパニーとして、IT、通信・情報、流通、製造などの幅広い業種の企業に対し、「仕組み」「リソース」「道具」などさまざまなインサイドセールスのサービスをご提供し、多くの実績を積み上げてきました。当コラムは、多数のクライアント企業でインサイドセールス組織の立ち上げ・導入支援・MA活用支援などに携わってきたコンサルタントが、これまで蓄積したノウハウを元に執筆したものです。

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