次はコミュニケーションデザインというステップである。
目次
コミュニケーション上手は聞き上手
営業活動において、コミュニケーションをデザインするヒントは「聞く」ことにある。
コミュニケーションのうまい人は、聞くことがうまい人だ。営業の現場でも、売れる営業ほど聞き上手だと言われる。なぜなら、顧客は話をよく聞いてくれる営業に好意をもつため、そこで信頼関係が生まれ、得られた多くの情報から、内容の濃い適切な提案活動ができ、結果としてその訪問営業から商品やサービスを購入することになるからだ。
顧客のニーズを引き出す会話のシナリオを、徹底的にデザインする
訪問営業は、顧客との会話で得た情報を、会話の端々までも逃さず、聞き貯めていく。単に「こういうものはいかがでしょうか」という話を突然するのではなく、まずは顧客から得られたさまざまな情報をもとにプロファイル(分析結果)を作っていく。訪問営業が相手先を一度訪問しただけで商談になるかといったら、実際はそう簡単なものではない。数回、数十回と訪問して少しずつ情報を入手し、入念な準備をして、ようやく商談になるのだ。
我々がこのステップで行うことは、クローズドクエスチョンを多用したトークスクリプトを作成することではなく、顧客が抱える課題を聞き出すための会話のネタと、想定される反応、それら課題の解決策をマッピングすることである。訪問営業が顧客先で行っているように、顧客の発した言葉に応じて、自身の持っている引き出しを使ってコミュニケーションができるよう、会話のあらゆるシナリオを洗い出すことである。
インサイドセールスの仕事は顧客のニーズを引き出すこと
インサイドセールスの仕事は、顧客が抱える課題から、今、その会社の何が問題なのかをしっかり聞き出し、「うちの製品ならこういうことができますよ」と、それに対する解決策を提案することだ。
ちなみに、現在、当社が取引させていただいている企業が取り扱う商材は、IT商材が多い。ハードウェア、ソフトウェア、クラウドからさらに複雑なものまで、何でも揃っているが、いろいろな商材を持っている会社、ポートフォリオ(商材ラインナップ)がしっかりした会社には、インサイドセールスはより効果的だ。ハードも、ソフトも、アプリケーションもある、というように、商材を複数もっている会社であれば、その商材のうちの何かが顧客の興味の対象になり、検討してもらえる機会を得る可能性が高まるからだ。商材があればあるほど、さまざまな会話と提案を通じて、相手先との関係を構築しながら営業ができるのだ。
関連知識の習得とトークのトレーニングも重要
顧客の課題や問題点などを知るためには、まずフロントトークという最初の挨拶で、営業側が何を伝え、どのような情報を顧客から獲得するのかという、伝える情報と取得する情報を定義することから始める。インサイドセールスの商品知識のレベルも、当然設定する必要がある。
商品知識のレベルを維持するためにも、当社ではインサイドセールス全員を正社員雇用し、仕事のベースとなるIT知識も身に付けさせるなど、しっかりと教育をしてからサービスを開始させている。
また、インサイドセールスを導入している企業にも、一般的なIT知識のほか、個々の顧客に合わせたサービス研修や、Eラーニングによる勉強なども、繰り返し行ってもらっている。さらに、セールストークのロールプレイングで会話の模擬体験を重ね、デザインしたコミュニケーションを頭に刷り込ませるといったトレーニングも重要である。
一覧へ戻る